マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
昨日のダウ平均は反発も2日間トータルでは115ドル安 日経平均は節目の17,500円を割り込む展開か
NYダウ: 16398.57 △52.12 (1/11)
NASDAQ: 4637.99 ▼5.64 (1/11)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
先週末の米国市場は続落となりました。ダウ平均は中国株の上昇や良好な雇用統計を好感し取引開始直後に140ドル高近くまで買われましたが、WTIの先物価格が一時33ドル台を割り込むなど原油価格の下落を受けてマイナスに転じると昼前には80ドル安まで下げました。その後、原油価格が持ち直したことでダウ平均も昼過ぎにはプラスとなりましたが、上値が伸び悩むなか原油価格が再び弱含んだことや週末の持ち高調整の売りも出て引けにかけて一段安となり引け間際には200ドル安近くまで売られました。結局ダウ平均は167ドル安の16,346ドルと3日続落で取引を終えています。また、S&P500株価指数も21ポイント安の1,922ポイントとなり、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は45ポイント安の4,643ポイントと7日続落となっています
。週明けの米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均とS&P500株価指数は4日ぶりの反発となったものの、ナスダック総合株価指数は小幅に続落となりました。ダウ平均は先週末までの3日間で800ドル以上下げていたこともあって値ごろ感からの買いから上昇して始まると取引開始直後に115ドル高まで買われましたが、その後上値が伸び悩むとWTIの先物価格が30ドル台を付けた原油価格の下落を受けてダウ平均も午後に110ドル安まで売られました。しかし、取引終盤で持ち直すと取引開始直後に付けた高値を試す場面もみられました。引けにかけてやや上げ幅を縮めたダウ平均は結局52ドル高の16,398ドルで取引を終えています。また、S&P500株価指数も1ポイント高の1,923ポイントとなりました。一方でバイオ関連株の下げが重石となったナスダック総合株価指数は5ポイント安の4,637ポイントと8日続落となりました。
2.経済指標等
先週末に発表された昨年12月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月から29万2千人増となり市場予想を大きく上回りました。また、10月の非農業部門の雇用者数が29万8千人から30万7千人に、11月が21万1千人から25万2千人に上方修正されました。失業率は前月と同じ5.0%で、平均時給は前年同月比2.5%増となり市場予想に届かなかったものの前月を上回る伸びとなりました。昨年11月の卸売在庫高は前月比0.3%減の5829億700万ドルで2カ月連続のマイナスとなり市場予想を上回る減少となりました。11月の卸売売上高は前月比1.0%減の4428億100万ドルと2カ月連続で減少し横ばいを見込んだ市場予想に反し減少しました。11月の消費者信用残高は前月比139億5054万ドル増の3兆5260億ドルとなったものの市場予想は下回りました。
週明けにFRBが発表した昨年12月の労働市場情勢指数(LMCI)は前月の2.7ポイントから上昇し2.9となり市場予想を上回りました。
3.業種別動向
先週末の米国市場で業種別S&P500株価指数は10業種全てが下げました。なかでも金融、ヘルスケア、エネルギー、一般消費財・サービス、素材、資本財・サービスの6業種が1%を超える下落となっています。
週明けの米国市場で業種別S&P500株価指数は全10業種のうち生活必需品や一般消費財・サービス、電気通信サービスなどの7業種が上げ、なかでも生活必需品は1%近い上昇となりました。一方でエネルギーが2%安となったほか、素材とヘルスケアが1%を超える下落となっています。
4.個別銘柄動向
先週末の米国市場でダウ平均構成銘柄はアップル(AAPL)とマイクロソフト(MSFT)を除く28銘柄が下げました。なかでもシスコシステムズ(CSCO)とウォルマート・ストアーズ(WMT)、ボーイング(BA)、JPモルガン・チェース(JPM)、エクソンモービル(XOM)が2%以上の下落となっています。ダウ平均構成銘柄以外では15年9~11月期の最終赤字幅が前年同期から拡大したセキュリティサービスのバラクーダ・ネットワークス(CUDA)が大幅安となったほか、昨年12月の既存店売上高が前年同月比で減少したカジュアル衣料品大手のギャップ(GPS)が急落しました。
週明けの米国市場では百貨店のメーシーズ(M)が大幅高となりました。物言う株主として知られるヘッジファンドが取締役会に向けた書簡で株主価値を向上させるためにメーシーズが所有する不動産を活用することを提案したことが材料視されました。一方で身売りなどを含む経営の刷新を検討していると発表した教育大手のアポロ・エデュケーション・グループ(APOL)は業績不振が改めて意識され大きく下げました。また、2016年通期の業績予想が市場予想を下回ったバイオ製薬のセルジーン(CELG)が大幅安となったほか、バイオ医薬のバクスアルタ(BXLT)の買収で合意した同業のシャイアー(SHPG)が財務負担を嫌気した売りで大きく下げています。バクスアルタは買いが先行したものの買いが続かず下げて取引を終えています。なお、取引終了後に決算を発表した非鉄大手のアルコア(AA)は1株利益が市場予想を上回ったことや、2016年にアルミ需要が持ち直すとの予想を示したこともあって時間外で一時買われました。
5.為替・金利等
先週末の原油安や米国株安を受けて長期金利は安全資産とされる米国債に買いが続き前日比0.03%低い2.11%となりました。週明けの長期金利は今週の米国債入札を控えて持ち高調整の売りが優勢となり0.06%高い2.17%となりました。
先週末のドル円は良好な米雇用統計を受けて一旦118円台後半まで円安となりましたが、原油価格の下落にともなって米国株が下げに転じるとリスクオフから円が買われ117円前半まで円高が進みました。その後、一時116円60銭台まで円高が進む場面もありましたが、持ち高調整を目的とした円売り・ドル買いが優勢となり朝方は117円台後半での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
昨日の米国市場でダウ平均は反発したものの、先週末と週明けのトータルでみると115ドル安となっていることや、ドル円も再び117円台を付けていることから本日の日本市場は続落でのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は先週末に下げ渋った17,500円の節目を割り込みそうで、日中は昨日に5%を超える下げとなった中国の上海市場やドル円の動向をにらみながらとなりそうです。短期的な売られすぎ感が一段と強まるなか切り返し、日経平均が引けで17,500円を回復するような展開となるかが注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)