マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
日経平均92円高で1万7000円の節目を回復
日本株式市場
日経平均92円高で1万7000円の節目を回復
1.概況
本日の日経平均は92円高の1万7048円と反発し、昨日割り込んだ1万7000円の節目を回復しました。TOPIXやJPX日経400、新興市場のマザーズ指数など主要指数は総じて上昇しました。昨日の米国市場は休場でしたが、欧州市場が軟調だったことを受け日経平均は53円安の1万6902円で寄り付きました。日経平均は寄り付き後に一時130円安近くまで下げ幅を広げましたが、その後切り返すとまもなくプラスに転じ、その後は昨日の終値を挟んだもみ合いとなりました。11時に発表された中国の10-12月期GDPが前年同期比6.8%増と市場予想の6.9%増を下回ったこともあってか、11時過ぎから日経平均は下げ幅を広げて結局121円安での前引けとなりました。日経平均は後場に入ると徐々に下げ幅を縮めて13時過ぎに再びプラスに転じました。その後再度マイナスに転じるなど方向感に欠ける値動きが続きましたが、14時半頃から上げ幅を広げて1万7000円台を回復しての大引けとなりました。東証33業種では任天堂(7974)が上昇を牽引したその他製品が上昇率トップとなりました。その他の上昇率上位は鉄鋼、海運業、電気機器など外需関連業種の上昇が目立ちました。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金トップはソフトバンクグループ(9984)で1.3%安と続落しました。終値は5,046円ですが、取引時間中に一時4,964円まで下落し、5,000円の節目を割り込む場面がありました。売買代金2位のトヨタ(7203)は0.9%高と4日ぶりに反発しました。自動車各社は富士重工業(7270)が3%高、マツダ(7261)が2.2%高となるなど総じて堅調でした。本日はメガバンク3行の弱さが目立ちました。三菱UFJ(8306)が1.9%安となったほか、その他2行も1%台の下落となっています。銀行業は業種別騰落率でもワースト2位となっており、昨日国内証券が銀行のセクター判断を引き下げた影響があったのかもしれません。売買代金9位に入った任天堂(7974)は9.1%の大幅高となりました。外資系証券が投資判断を買いに引き上げたことが好感されたようです。その他材料が出たところでは、産業革新機構が出資額の引き上げを検討していると報じられたシャープ(6753)は2.4%高と堅調でした。また、本日の日経新聞朝刊に掲載された社長のインタビュー記事で来期も営業増益が続くとの見通しが示された森永乳業(2264)は1.6%高となりました。一方、4月からの電力小売参入に向け、既に発表したプランから追加の値下げを検討している方針が明らかとなった東京ガス(9531)は1.6%安となりました。
【VIEW POINT: 明日への視点】
日経平均はようやく今年になって2度目の上昇となりました。本日は米国市場の休場明けで方向感が出にくいマーケットでしたが、終値ベースの昨年来安値を割り込まず1万7000円の節目を回復したことはポジティブに評価できるでしょう。また、中国のGDPが市場予想をやや下回ったものの大きな売りが出なかったことも、ある程度マーケットが落ち着きを取り戻しつつあると言えるのかもしれません。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
上海総合指数は大幅続伸
1.概況
本日の上海総合指数は前日比93ポイント高(3.2%)の3,007ポイントと大幅に続伸し節目の3,000ポイントを回復しました(年初来で15.0%安の水準)。また、中国の創業板指数(日本のマザーズ市場に相当)も66ポイント高(3.1%)の2,241ポイントと大幅に続伸しました。さらに香港のハンセン指数は日本時間16時時点で261ポイント高の1万9498ポイントと4日ぶりに反発しています。
中国市場で上海総合指数はGDPの発表を控え昨日の終値の近辺でスタートすると、しばらくは小動きで昨日の終値を挟んで揉み合う展開となりました。その後、日本時間11時に発表された中国の10-12月期のGDPが前年同期比6.8%増と市場予想を小幅に下回ったほか、12月の固定資産投資や小売売上高、鉱工業生産などの主要経済指標も軒並み市場予想に届かなかったことから、発表直後には一旦マイナスに転じ節目の2,900ポイント近辺まで下落する場面もありました。しかし、冴えない経済指標を受けて次第に中国人民銀行が春節(旧正月)前に準備金率を引き下げるとの金融緩和期待が広がり前引けにかけて急伸しすると、午後には一段高となりました。結局、上海総合指数は節目の3,000ポイントを3日ぶりに回復して取引を終えています。
香港市場では、昨日に大きく下落していたことから押し目買いが入り小幅に上昇して寄り付いたハンセン指数は、しばらくして200ポイント超まで上昇する場面もありました。その後は中国のGDPなどの下振れや本土市場の反落が嫌気され一時マイナス圏に沈む場面もみられましたが、中国人民銀行による金融緩和期待を受けて再び上昇に転じると、上げ幅を広げる展開となっています。日本時間16時時点で、公益事業株指数がわずかに上げているほか、商工業株指数や金融事業株指数、不動産株指数などが1%超上昇しています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
香港市場では、春節を控え乳製品メーカーの中国蒙牛乳業(チャイナ・メンニウ、2319)が5%近く上昇しているほか、食品の康師傅控股(ティンイー、0322)も3%超上げています。また、昨日発表された主要70都市の新築住宅価格動向が引き続き好感され、不動産の中国海外発展(チャイナ・オーバーシ-ズランド、0688)や華潤置地(チャイナ・リソーシズランド、1109)などが揃って堅調に推移しています。更に、値嵩株のインターネット大手の騰訊(テンセント・ホールディングス、0700)及び中国移動(チャイナ・モバイル、0941)が大きく買われ、相場を押し上げています。
一方で、中国鉄道インフラの中国鉄建(チャイナ・レールウェイ・コンストラクション、1186)は寄り付き前に5億米ドル相当の新株予約権付社債を発行すると発表したことで希薄化を警戒する売りが膨み一時7%超下落する場面がありました。また、香港交易及結算所(香港証券取、各種金融サービス、0388)が目標価格の引き下げを受けて小幅に下落しています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
本日の上海総合指数は金融緩和期待から一気に節目の3,000ポイントを回復しほぼ高値引けとなりました。したがって、リスクオフムードがやや後退しているとみられることから明日の中国市場も堅調となりそうです。明日も本日に大きく上昇した不動産や建設関連株に引き続き物色が向かうかが注目されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川)