マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
日経平均632円安で昨年来安値を更新も売買は膨らまず
日本株式市場
日経平均632円安で昨年来安値を更新も売買は膨らまず
1.概況
本日の日経平均は632円安と大幅に反落し、昨年来安値を更新しました。TOPIXやJPX日経400、新興市場のマザーズ指数など主要指数はいずれも大幅に下落しました。昨日の米国市場でダウ平均は上昇、ナスダック総合指数は下落とまちまちで支援材料になりにくいなか日経平均は18円安と小動きで寄り付きました。本日の日経平均は寄り付きがほぼ1日の高値となるとその後はほとんど反発することなく1日を通して下げ幅を広げる展開となりました。日経平均は寄り付き後まもなく1万7000円の節目を割り込み、その後しばらくは1万6900円どころでの推移が続きました。ただ、日経平均は10時過ぎから一段安になるとその後も徐々に下げ幅を広げました。後場に入っても下げ止まらない日経平均は14時頃に1万6500円の節目を割り込み、大引けにかけてもさらに下げ幅を広げて結局632円安と本日の安値圏での大引けとなりました。大幅に下落した日本市場ですが、東証1部の売買代金は2兆6725億円と膨らんでいません。WTI原油先物価格が時間外取引で一時27ドル台まで下落したこと、ドル円が116円台まで円高に振れたこと、香港のハンセン指数が一時4%を超える下落となったことなどが悪材料となったと見られますが、先物で仕掛け的な売りが出たと言えそうです。東証1部の値上がり銘柄数は40のみと全面安の商状で、東証33業種も全て下落しました。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金上位銘柄は総崩れとなりました。トヨタ(7203)が3.4%、ソフトバンクグループ(9984)は7%安、メガバンク3行が3~4%安、特段の材料が出ていないソニー(6758)も8%安などとなっています。日本郵政(6178)、かんぽ生命保険(7181)、ゆうちょ銀行(7182)の郵政グループ3社も揃って大幅安となり、ゆうちょ銀行は公募価格を下回っています。材料が出たところでは、現在も株式の4割以上を保有する創業者が全取締役交代の株主提案を行うと表明したクックパッド(2193)は今後の不透明感が嫌気されてストップ安まで売られました。名古屋を中心にステーキレストランを展開するブロンコビリー(3091)は、1.4%高の逆行高となりました。昨日の大引け後に発表した2015年12月期の決算発表で営業利益が21.6%増と好調だったことに加え、今期の営業利益も14.3%増益予想と堅調な伸びを見込んでいることが好感されました。
【VIEW POINT: 明日への視点】
日本市場は大幅安となりましたが、東証1部の売買代金は2兆6725億円と昨年8月25日に日経平均が733円安となった際に約4兆9200億円まで膨らんだことに比べると、商いはまったく膨らんでいません。よってセリング・クライマックスとなったかどうかは不透明ですが、日経平均の予想PERは13倍台後半まで低下しています。東証1部の騰落レシオも60%と、バリュエーション面、テクニカル面どちらから見ても一般的な割安・売られすぎの水準にあり、ここからの下げは限定的と見ることもできます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
上海総合指数は反落
1.概況
本日の上海総合指数は前日比31ポイント安(1.0%安)の2,976ポイントと反落し節目の3,000ポイントを割り込みました(年初来で15.9%安の水準)。また、中国の創業板指数(日本のマザーズ市場に相当)も37ポイント安(1.7%安)の2,204ポイントと大幅に反落しました。更に、香港のハンセン指数は日本時間16時時点で687ポイント安の1万8948ポイントと大幅に反落し2012年7月26日以来約3年6カ月ぶりに1万9000ポイントを割り込んでいます。
中国市場で上海総合指数は、中国証券監督管理委員会(証監会、CSRC)が昨日引け後に今年1月1日付けで施行した新しいIPO制度下で7社の新規株式公開(IPO)を認可したと発表したことが嫌気され、小幅に下落し節目の3,000ポイントを割り込んで寄り付きました。その後、一時プラスに転じ3,000ポイントを回復する場面もみられましたが、中国人民銀行が前日引け後に春節(旧正月)連休を前に「中期貸出制度(MLF)」などを通じて6000億元以上の資金供給を実施する方針を打ち出したことで追加緩和期待がやや後退していたこともあって上値が伸び悩むと再びマイナス圏に沈み下げ幅を広げる展開となりました。上海総合指数は後場に下げ幅を縮めたものの、結局節目の3,000ポイントを割り込んで取引を終えています。
香港市場では、昨日の原油安の流れを受けてハンセン指数は大幅に下落して始まりました。また、香港ドルの対米ドル相場が下落し続けていることで投資資金の流出に対する警戒感が強く、下げ幅を拡大すると2012年7月26日以来約3年6カ月ぶりに1万9000ポイントを割り込み軟調な展開が続いています。日本時間16時時点で、不動産株指数をはじめ、商工業株指数や金融事業株指数、公益事業株指数などが大幅に下落しています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
香港市場はほぼ全面安となっています。とりわけ、昨日の原油価格の大幅下落を受けて昆侖能源(クンルン・エナジー、0135)が6%超下落しているほか、中国海洋石油(CNOOC、0883)や中国石油天然気(ペトロチャイナ、0857)などが5%超下げるなど、エネルギー関連株が軒並み軟調に推移しています。また、通信大手の中国聯通(チャイナ・ユニコム、0762)は携帯電話の加入者数の伸び悩みが嫌気され大きく売られています。中国移動(チャイナ・モバイル、0941)も連れ安となっています。更に、資金流出懸念から保険の友邦保険控股(AIAグループ、1299)や商業銀行の中国工商銀行(1398)も大幅に下落しています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
本日の上海総合指数は追加緩和期待の後退から再び節目の3,000ポイントを割り込んで引けました。しかし、後場に下げ渋るなど一定の底堅さをみせたことから、明日も節目の3,000ポイントを回復できるかが焦点となりそうです。また、資金流失懸念から節目の1万9000ポイントを割り込んだハンセン指数は引き続き香港ドルのレートや原油価格などを睨みながらの展開となりそうですが、テクニカル的に売られすぎのサインが出ていることもあって自律反発に期待したいところです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川)