マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場はFOMCの声明文を受けて大幅下落 日本市場も米国株安で反落スタートか
NYダウ: 15944.46 ▼222.77 (1/27)
NASDAQ: 4468.17 ▼99.51 (1/27)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場は米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文が3月のFOMCでの利上げ観測を後退させるほどの内容でなかったと受け止められ大幅反落となりました。原油価格の下落や一部企業の冴えない決算を嫌気して取引開始後しばらくして180ドル安近くまで売られ16,000ドルをわずかに割り込んだダウ平均ですが、原油価格が持ち直したことから切り返すと昼前にはプラスに転じました、その後FOMCの結果発表を控え様子見となり前日終値近辺での推移となったダウ平均は、FOMCの結果発表直後こそ声明文がハト派的な内容だとして買われる場面もありましたが、直ぐに売りが優勢となると一気に下げ幅を広げる展開となりました。290ドル安近くまで売られる場面もあったダウ平均は引けにかけてやや持ち直したものの、結局222ドル安の15,944ドルと節目の16,000ドルを割り込んで取引を終えました。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も99ポイント安の4,468ポイントとなっています。
2.経済指標等
米連邦準備制度理事会(FRB)はFOMCで政策金利の据え置きを決めました。景気判断については「昨年末に減速した」とし、「緩やかなペースで拡大している」と前回から後退する一方で、先行きについては前回声明の「緩やかに拡大する」との表現を維持しました。また、「世界景気や金融市場の動向を念入りに注視する」との文言が盛り込まれました。さらに労働市場は「さらに改善した」とし、物価上昇率は「短期的には低くとどまる」との認識を示しました。昨年12月の新築住宅販売戸数は年率換算で前月比10.8%増の54万4千戸となり市場予想を上回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全10業種のうち電気通信サービスと公益事業を除く8業種が下げました。なかでも情報技術が2%を超える下落となったほか、一般消費財・サービスやヘルスケア、資本財・サービスが1%を上回る下げとなりました。
4.個別銘柄動向
決算と同時に発表した2016年12月期通期の業績見通しが市場予想を下回ったボーイング(BA)が9%近く下落し、ダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。また、前日の取引終了後に決算を発表したアップル(AAPL)も2016年1-3月期の売上高見通しが市場予想を下回ったことなどから6%を超える下げとなりました。ボーイングとアップルの2銘柄でダウ平均を120ドル近く押し下げています。同じく前日の取引終了後に発表した決算で売上高が市場予想を下回ったAT&T(T)も小幅に下げています。一方、決算で売上高や1株利益が市場予想を上回ったバイオ製薬のバイオジェン(BIIB)が大幅高となり、自社株買いを発表した物流のフェデックス(FDX)が堅調でした。なお、取引終了後に決算を発表したフェイスブック(FB)は1株利益が市場予想を上回り時間外で買われています。
5.為替・金利等
長期金利は原油価格の上昇を受け安全資産の米国債で売りが優勢となり0.01%高い2.00%となりました。ドル円はFOMCの声明発表まで円売り・ドル買いが優勢で一時119円台を付ける場面もありましたが、声明文発表後は円に買い戻しが入りました。朝方は118円60銭台での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
米国株安を受けて本日の日本市場は反落でのスタートが予想されます。しかし、ドル円が円安に振れていることもあって下値は限定的となりそうで、日経平均が節目の17,000円を維持できるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)