マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
日経平均反落 明日は日銀が追加金融緩和を発表するかに注目
日本株式市場
日経平均反落 明日は日銀が追加金融緩和を発表するかに注目
1.概況
本日の日経平均は122円安の1万7041円と反落しました。TOPIXやJPX日経400も下落しましたが、新興市場のマザーズ指数は上昇しました。昨日の米国株式市場は、連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文に今後の利上げペース鈍化を明確に示すような文言が記載されなかったことから失望売りが出て、ダウ平均は200ドル以上下落しました。米国市場の反落を受け日経平均は104円安の1万7059円で寄り付きました。日経平均は寄り付き後も下げ幅を広げて1万7000円の節目を割り込むと一時は221円安の1万6942円まで売られましたが、売り一巡後は切り返し、徐々に下げ幅を縮めると10時半過ぎにプラスに転じました。結局前場を32円高で終えた日経平均は後場寄り後まもなく再びマイナスに転じ、一時は130円以上安くなる場面もありました。その後プラスに転じる場面もありましたが、日経平均は大引けにかけて再びやや下げ幅を広げて取引を終えました。東証33業種は水産・農林業や食料品など内需関連を中心とした8業種が上昇した一方、鉄鋼や鉱業などの25業種が売られました。東証1部の売買代金は2兆3772億円となっています。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金トップのトヨタ(7203)は2円高とほぼ横ばいでした。また、トヨタと提携交渉を行っていると報じられ昨日大きく上昇したスズキ(7269)は0.6%高、トヨタが完全子会社化する方針と報じられて昨日大幅高となったダイハツ工業(7262)は4.2%高とそれぞれ続伸しました。その他の売買代金上位銘柄は、ソフトバンクグループ(9984)が1.7%安、メガバンク3行も揃って下落しました。また、売買代金3位のソニー(6758)は5.3%安と大きく下落しました。売買代金5位に入ったアルプス電気(6770)は17%超の大幅下落となりました。昨日の大引け後に今期の営業利益予想を605億円から525億円に大幅に引き下げたことで大きく売られました。その他のアップル(AAPL)に部品を供給する関連銘柄も大きく売られました。ジャパンディスプレイ(6740)、村田製作所(6981)、フォスター電機(6794)、太陽誘電(6976)が6~9%の大幅な下落となっています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
一時はプラスに転じた日経平均ですが、結局反落となりました。明日はお昼ごろに日銀の金融政策決定会合の結果発表が行われます。一部メディアでは日銀内部で追加緩和実施が検討されているとの報道もあり、発表内容が注目されます。追加緩和が発表されれば円安株高進行が予想されますが、追加緩和なしとなれば一定の失望売りが出てくると考えられます。明日はマーケットの急変に備え特に注意を払っていただきたいと思います。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
上海総合指数は大幅続落
1.概況
本日の上海総合指数は前日比79ポイント安(2.9%)の2,655ポイントと大幅に続落しました(年初来で25.0%安の水準)。また、中国の創業板指数(日本のマザーズ市場に相当)は91ポイント安(4.6%)の1,906ポイントと大幅に反落しました。更に、香港のハンセン指数は日本時間16時時点で27ポイント安の1万9025ポイントと小幅に反落しています。
中国市場では、中国人民銀行(中央銀行)が本日短期金融市場で定例の公開市場操作(オペ)を実施し、計3400億元の資金を供給したにも拘らず、上海総合指数は続落して始まりました。前場に一時プラスに転じる場面がありましたが、薄商いのなかで伸び悩むと、後場に節目の2,700ポイントを挟んで揉み合う展開となり、引けにかけて下げがさらに加速し、結局上海総合指数は2,700ポイントを割り込んで取引を終えました。
香港市場では、昨日の米国株が下落したものの、米FOMCの声明文はややハト派的な内容と受け止められたほか、3月の利上げ懸念が若干後退していることもあり、ハンセン指数は上昇して寄り付き、一時171ポイント高まで上昇する場面もありました。その後、中国本土市場の下げ幅を拡大したことが嫌気され、ハンセン指数は上げ幅を縮め、後場にマイナス圏に沈むとその後はやや軟調な展開となっています。日本時間16時時点で、商工業株指数と金融事業株指数が下落している一方、不動産株指数及び公益事業株指数が僅かに上げています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
香港市場では、不動産大手の恒基兆業地産(ヘンダーソン・ランド・デベロップメント、0012)は外資系のアナリストが強気な投資判断を維持したことが好感され、大幅に上昇しています。また、春節が近づき帰省ラッシュになるとの思惑から、鉄道関連の中国鉄建(チャイナ・レールウェイ・コンストラクション、1186)や中国中鉄(チャイナ・レールウェイ・グループ、0390)などが大きく買われています。
一方で、昨日上昇した保険の友邦保険控股(AIAグループ、1299)が2%超下落しています。また、理由は定かではありませんが恒発洋参(ハンファット・ジンセン・ホールディングス、0911)は91%超下落し、取引が停止となっています。さらに、中国人民銀行の流動性供給を受けて、商業銀行の中国工商銀行(1398)や中国建設銀行(チャイナ・コンストラクション、0939)などは買いが先行したものの、徐々に上げ幅を縮めて小幅な下落に転じています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
本日の上海総合指数は中国人民銀行による資金供給にもかかわらず、節目の2,700ポイントを割り込んで引けました。リスクオフムードが依然として強く、春節を前にして薄商いのなかで不安定な相場が続きそうです。下げ止まらない状況だけに、政府による株価対策が出てくる可能性があり、注目が必要です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川)