マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
日経平均、原油安や円高進行でリスクオフ進み559円の大幅下落
日本株式市場
日経平均、原油安や円高進行でリスクオフ進み559円の大幅下落
1.概況
本日の日経平均は559円安の1万7191円と大幅に続落しました。TOPIXやJPX日経400、新興市場のマザーズ指数など主要指数は総じて下落しました。WTI原油先物価格が再び30ドルを割り込んだことが嫌気されダウ平均が300ドル近く下落したこと、ドル円が119円台まで円高に振れたことを受け、日経平均は253円安の1万7497円で寄り付きました。日経平均は寄り付き後もほとんど反発することなく下げ幅を広げると、10時半過ぎには670円安まで下落する場面がありました。その後日経平均はやや持ち直し、前場を556円安で引けました。日経平均は後場に入るとさらに下げ幅を縮めて一時450円安の1万7300円まで値を戻しましたが、取引終盤に再び下げ幅を広げると結局本日の安値圏での大引けとなりました。東証1部の9割近い銘柄が下落する全面安の商状で、業種別には石油石炭製品を除く32業種が下落しました。陸運業、小売業、食料品、医薬品、情報通信業といった内需関連業種は比較的下げが小さくなりました。
2.個別銘柄等
マーケットがリスクオフムードを強めて主力銘柄が大きく値を下げる中、NTT(9432)が0.7%の上昇NTTドコモ(9437)も0.1%上昇するなど、比較的業績の安定性が高い通信セクターの一角に資金が集まりました。その他材料が出たところでは、IHI(7013)は昨日の大引け後に4-12月期の業績発表を行い、営業利益が前年同期の456億円から55億円に大幅減益になるとともに、今期の純利益予想を180億円の黒字から300億円の赤字に下方修正し、さらに配当予想も引き下げたことで20%超の大幅安となりました。IHIは東証1部の騰落率ワースト1位となっています。また、昨日の大引け後に国内ユニクロの1月の既存店売上高が前年同月比14.6%増だったと発表したファーストリテイリング(9983)は、朝方はプラスで推移する場面もありましたが、マーケット全体の下げ幅拡大に伴いマイナスに転じると結局1.7%安となりました。また、2015年12月期の通期業績が前年度から減収減益となったと発表したスマートフォン向けゲームなどを手がけるガンホー(3765)は、成長鈍化が改めて意識され13%超の大幅安となっています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
日銀のマイナス金利導入や原油の協調減産の可能性が報じられたことなどでいったんは世界的にリスクオフからの巻き戻しが起きていましたが、原油価格が下落したことを受けマーケットは再びリスクオフムードとなってしまいました。昨日のダウ平均の下落率が1.8%だったのに対し日経平均は3.2%と2倍弱の下落となっており、本日の下げはやや過剰にも思えます。一方で日経平均の予想1株利益(EPS)は、日経平均が2万円を回復した12月1日には1,270円程度あったものが企業業績の下方修正を受け昨日時点で1,170円まで低下しています。昨日のEPSから計算すると日経平均はPER14倍で1万6000円台前半、先日のように13倍台前半まで低下すれば1万5000円台への下落の可能性もあり、一段の下値に警戒を怠らないようにしたい局面と言えそうです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
上海総合指数は小幅反落
1.概況
本日の上海総合指数は前日比10ポイント安(0.4%)の2,739ポイントと小幅に反落しました(年初来で22.6%安の水準)。一方、中国の創業板指数(日本のマザーズ市場に相当)は15ポイント高(0.7%)の2,090ポイントと小幅に続伸しました。他方、香港のハンセン指数は日本時間16時時点で458ポイント安の1万8988ポイントと節目の1万9000ポイントを割り込んで大幅に続落しています。
中国本土市場では、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどによる協調減産の観測が後退し、昨日の原油価格が1バレル30ドルを割り込んだことでリスクオフムードが再び強まり、上海総合指数は下落して寄り付くとその後は安値圏での揉み合いとなりました。一時節目の2,700ポイントを割り込む場面もありましたが、昨日に中国人民銀行が住宅ローンの頭金比率を20%まで引き下げる規制緩和を発表したことを受けて不動産株が物色されたことが一定の支えとなり、すぐに2,700ポイントを回復しました。その後引けにかけて下げ幅を急速に縮小し結局小幅安で取引を終えました。なお、中国人民銀行が本日5日連続で公開市場操作(オペ)を通じて計1000億元の資金を供給したことや、朝方発表された1月の財新中国サービスPMIが52.4と前月の50.2から大幅に改善するなどの好材料もあったものの、相場への影響は限定的でした。
中国香港市場では、昨日の米国株安を受けて、ハンセン指数が節目の1万9000ポイントを割り込んでスタートし、一時3.5%安まで売られました。その後は時間外取引での原油価格の持ち直しや本土市場の2,700ポイント近辺の下げ渋りが好感され、下げ幅を徐々に縮める展開となりました。日本時間16時時点で、公益事業株指数がわずかに下落し、金融事業株指数や、商工業株指数、不動産株指数は2%超下げています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
香港市場はほぼ全面安となっています。パソコンの聯想集団(レノボ・グループ、0992)は2016年第3四半期の売上高が市場予想に届かなかったことから、失望売りが膨らみ10%超下落しています。また、中国でクレジットカードなどを展開する銀聯(ぎんれん)が中国人のオフショア保険商品の購入を制限すると伝わり、アジア保険大手の友邦保険控股(AIAグループ、1299)が大幅に下落したほか、中国人寿保険(チャイナライフインシュアランス、2628)や中国平安保険(ピンアン・インシュアランス、2318)なども大きく売られています。さらに、中国当局が住宅ローン規制を緩和すると発表したものの、リスクオフムードが強まるなか、中国系の不動産株の華潤置地(チャイナ・リソーシズランド、1109)及び中国海外発展(チャイナ・オーバーシ-ズランド、0688)が2%超値下がりしています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
原油安でリスクオフムードが再び強まり、上海総合指数とハンセン指数が共に下落しています。但し、中国人民銀行による5営業日連続の資金供給や住宅ローン規制の緩和策、財新中国サービスPMIの改善などの好材料もあり、原油価格が落ち着けば、明日の上海総合指数は反発が期待できそうです。また、香港市場では、住宅ローン規制の緩和を受けても下落している中国系の不動産株が買い戻されるかが注目されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川)