マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
日経平均円高進行を嫌気して3日続落
日本株式市場
日経平均円高進行を嫌気して3日続落
1.概況
本日の日経平均は146円安の1万7044円と3日続落しました。TOPIXやJPX日経400、新興市場のマザーズ指数など主要指数は総じて下落しました。昨日米国で発表されたISM非製造業景況感指数が市場予想を大幅に下回るものだったこと、ニューヨーク連銀のダドリー総裁が現在の金融市場に懸念を表明したことなどからFRBによる3月利上げ観測が大幅に後退し、ドル円は117円台まで円高が進みました。日銀のマイナス金利発表直前の水準よりも円高に振れたことを嫌気した日経平均は、120円安の1万7071円で寄り付きました。日経平均は寄り付き後に下げ幅を広げ、10時頃には250円安近くまで下落し、1万7000円の節目を割り込む場面がありました。その後上海市場や香港市場などアジア株が概ね堅調に推移したことも支えになってか、日経平均は徐々に下げ幅を縮めると前場を121円安とほぼ寄り付きと同水準で引けました。後場に入るとさらに下げ幅を縮めた日経平均は、13時過ぎに一時プラスに転じる場面がありました。ただ、買いは長続きせずすぐに再びマイナス圏に沈むとその後は徐々に下げ幅を広げ、結局150円近く下落しての大引けとなりました。業種別には非鉄金属と鉱業が2.5%超の上昇となったほか、パルプ・紙や石油石炭製品など計8業種が上昇しました。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金トップの三菱UFJ(8306)は、1.1%高と反発しました。その他のメガバンク2行やトヨタ(7203)は下落しました。売買代金5位に入ったシャープ(6753)は16.8%の大幅高となりました。台湾の鴻海の傘下に入って経営再建を進める方針を固めたと報じられると、報道後に急騰し一時は25%超の上昇となる場面がありましたが引けにかけて上げ幅を縮めました。また、決算発表で業績予想を下方修正した銘柄のきつい下げが目立ちました。売買代金4位の日立(6501)は今期の営業利益予想を従来の6800億円から6300億円に引き下げ、前期比営業減益となる見通しとなったことが嫌気され8%近く下落しました。また、パナソニック(6752)は今期の営業利益予想を4300億円から4100億円に引き下げたことで9%近く売られました。一方、減損損失を計上し純利益の予想は下方修正したものの営業利益予想は上方修正した三菱ケミカル(4188)は7%高と買われました。
【VIEW POINT: 明日への視点】
ダウ平均や原油価格の上昇といったポジティブな材料を打ち消す大幅な円高進行で日経平均は3日続落となりました。また、企業の業績予想下方修正が相次いでいることもマーケットのセンチメントを悪化させた面があるとみられます。日銀がマイナス金利導入を発表した前日の1月28日の日経平均の終値は1万7041円で、本日はかろうじて終値ベースではその価格を割り込みませんでした。もちろん日銀の狙いは実体経済の上昇にあり、株価だけがその効果のバロメーターとはなりませんが、明日以降終値で割り込むことになれば、日銀のアクションが不発に終わったとの印象が強まり、一層マーケットのセンチメントが冷え込んでしまう可能性もありそうです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
原油価格上昇や人民銀行の連日の資金供給受け上海総合指数・香港ハンセン指数とも反発
上海総合指数:2,781.02(+41.78)
香港のハンセン指数(日本時間16時時点):19,262.91(+271.32)
1.概況
<中国本土市場>
上海総合指数は反発しました。同指数は年初から20%以上下落し自律反発期待が強まっていることに加え、中国人民銀行が本日も1500億元の資金供給オペを行うなど、連日で大規模な資金供給を続けていることが好感されました。反発して寄り付いた上海総合指数は、寄り付き後に上げ幅を広げると一時は2%高近くまで上昇しました。その後は高値圏でのもみ合いとなり、そのまま高値圏で大引けをむかえました。
<香港市場>
香港のハンセン指数は日本時間16時時点で上昇しています。ダウ平均や原油価格の上昇を好感して高く始まった同指数は、本土市場の堅調な推移も支えとなって、上げ幅を拡大しました。その後は戻り売りに押されて上げ幅をやや縮めていますが、日本時間16時時点で約1.5%高となっています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
昨日冴えない決算を受けて急落したパソコンメーカーのレノボグループ (00992)が売られすぎとの観測からか、3%程度反発しています。また、連日の人民銀行の資金供給が好感されて中国建設銀行(00939)や中国工商銀行(01398)が約2%上昇しているほか、原油価格の上昇を受けエネルギー関連株のシノック(00883)やペトロチャイナ(00857)が大幅に上昇しています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)