市況概況 - 朝 -

マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)

  • 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
  • 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況

執筆者:マネックス証券 プロダクト部

ダウ平均は2日間で350ドル超の下げ 大幅な円高進行で日経平均は大幅安へ

NYダウ: 15660.18  ▼254.56 (2/11)
NASDAQ: 4266.84  ▼16.76 (2/11)

【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>

1.概況
10日の米国市場でダウ平均は99ドル安の1万5914ドルと4日続落し、節目の1万6000ドルを割り込みました。欧州株の上昇を受け高く始まったダウ平均はWTI原油先物価格が29ドル台まで上昇したことを受け一時190ドル近くまで上げ幅を広げましたが、イエレンFRB議長が議会証言で現時点で利下げが必要になるとは考えていないなどと発言したことから徐々に上げ幅を縮めると、一時マイナスに転じる場面がありました。その後ダウ平均は再び持ち直したものの原油先物価格が下落すると取引終盤に売りに押されて再びマイナスに転じ、結局ほぼ安値引けとなりました。一方、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は一部バイオ株や、アマゾン・ドット・コム(AMZN)やフェイスブック(FB)、イーベイ(EBAY)などに買い戻しが入ったこともあり、14ポイント高と4日ぶりに反発しました。
11日の米国株式市場はダウ平均が254ドル安の1万5660ドルと5日続落となりました。欧州株が大幅反落したほか、原油価格が26ドル台まで下落したことを受け下げ幅を広げたダウ平均は一時400ドル以上値を下げました。取引終盤にかけてやや持ち直したものの、結局2014年2月以来2年ぶりとなる安値をつけました。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も反落しましたが、ダウ平均が1.6%安となったのに対し0.4%安と比較的小幅な下げにとどまりました。

2.経済指標等
10日の米国市場でイエレンFRB議長は米下院金融委員会で半期に一度の証言を行いました。労働市場が堅調に推移していることを理由に、米国経済が近く利下げを行うことを想定していないと述べました。一方、経済が下振れすれば利上げペースを減速させることが適当になるとの見解も示しました。また、原油価格の下落がエネルギー部門の痛手となっている一方、家計に対し消費支出の押し上げ効果もあり、原油安が物価を押し下げるのは一時的だとの認識を示しました。1月の米月次財政収支は551億6300万ドルの黒字で市場予想の500億ドルの黒字を大幅に上回りました。
11日に発表された新規失業保険申請件数は26.9万件と市場予想より少なく、前週から改善しました。

3.業種別動向
10日の業種別S&P500株価指数は、全10業種のうちヘルスケアと情報技術の2業種のみ上昇しました。素材が1%近く下落したほか、エネルギーや金融も0.5%下げました。
11日の業種別S&P500株価指数は、全10業種が下げました。中でもリスクオフムードの高まりから金融が3%近く下げています。

4.個別銘柄動向
10日はダウ平均採用の30銘柄中、上昇は10銘柄にとどまり20銘柄が下落しました。ナイキ(NKE)、ビザ(V)、ユナイテッド・ヘルス・グループ(UNH)などがしっかりだった一方、ウォルト・ディズニー(DIS)が4%近く下げました。前日の決算発表で参加のスポーツチャンネル部門事業が減益になったことなどが嫌気されました。企業買収を手がけるカーライル・グループ(CG)は自社株買いを発表したことが好感され、1.5%高と堅調でした。
11日はダウ平均採用の30銘柄中27銘柄が下げました。リスクオフで金融株が売られ、ゴールドマン・サックス(GS)とJPモルガン(JPM)がともに4%以上下げました。また、ボーイング(BA)は航空機の売上等に関する会計処理について米当局が調査をしていると報じられたことで不透明感が高まったことが嫌気されて7%近く下落しました。一方、前日に発表した決算が市場予想を上回ったシスコシステムズ(CSCO)は10%近い大幅高となりました。

5.為替・金利等
10日の米国長期金利は、一時は前日から上昇して推移したものの日本時間の朝方にかけ急低下し、結局前日から0.06%低い1.67%となりました。ドル円は大きく円高に振れ、10日のNY時間17時時点で113円40銭程度となりました。
11日の米国長期金利は引き続き安全資産の米国債が買われ、前日比0.01%低い1.66%となりました。ドル円は欧州時間に一時110円台をつけるなど大幅な円高が進みましたがその後はやや円安に戻し、朝方は112円台半ばでの推移となっています。

【VIEW POINT: 今日の視点】
ダウ平均が2日間で350ドル以上下落していることに加え、世界的にリスクオフムードが高まり大幅な円高が進行していることから日経平均は大幅安となることが予想されます。ドル円は日銀のマイナス金利導入発表後に121円台をつけたところから比較すると、2週間で10円ほど円高に振れたことになります。これは平常時では考えにくいスピードでの円高進行で、いかにマーケットが急激にリスクオフに傾いているかを示しているとみられます。本日の日経平均は1万5000円という節目を見にいく可能性も否定できません。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)

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