マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場は原油価格の上昇や欧州株高などから大幅反発 欧米の株高で日本市場は反発か 日本のGDPの発表や上海市場の動向に注目
NYダウ: 15973.84 △313.66 (2/12)
NASDAQ: 4337.51 △70.68 (2/12)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
先週末の米国市場はドイツ銀行の信用不安後退による欧州株高や原油価格の上昇、さらに底堅い米個人消費などを受けて大きく反発しました。ドイツ銀行は自らが発行した30億ユーロのユーロ建て債券と20億ドルのドル建て債券を買い戻すと発表しています。こうしたなか昼前に250ドル高程度まで上昇したダウ平均は一旦伸び悩む場面もみられましたが、午後にさらに上げ幅を広げると結局313ドル高の15,973ドルと6日ぶりに反発し高値引けとなりました。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も70ポイント高の4,337ポイントと反発しています。
2.経済指標等
1月の米小売売上高は前月比0.2%増となり市場予想を上回りました。また、変動の大きい自動車・同部品を除く売上高も0.1%増と市場予想を上回っています。1月の米輸出入物価指数は前月比1.1%下落し、7カ月連続でマイナスとなりましたが、市場予想は上回っています。昨年12月の米企業在庫は前月比0.1%増の1兆8131億ドルで市場予想と一致しています。一方で2月のミシガン大学米消費者態度指数速報値は90.7と前月から1.3ポイント低下し市場予想も下回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全10業種のうち公益事業を除く9業種が上げました。なかでも金融が4%高となったほか、素材も3%近く上昇し、エネルギーが2%を超える上げとなりました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄全てが上げました。なかでもドイツ銀行の信用不安の後退を受けてJPモルガン・チェース(JPM)とゴールドマン・サックス(GS)の上昇が目立ちました。最高経営責任者が自社株を取得したと伝わったこともあってJPモルガン・チェースが8%を超える上昇となったほか、ゴールドマン・サックスも4%近く上げています。トラベラーズ(TRV)とデュポン(DD)、アメリカン・エキスプレス(AXP)も3%を上回る上昇となりました。ダウ平均構成銘柄以外では欧州での1月の新車販売台数が前年から10%増えたと発表した自動車大手のフォード・モーター(F)が大幅高となっています。一方で2015年10‐12月期の決算で最終損益が大幅な赤字となったインターネットラジオ局を運営するパンドラ・メディア(P)が急落し、四半期決算が減益だったメディア大手のCBS(CBS)も下げています。
5.為替・金利等
長期金利は原油価格の上昇や欧米株高を受けて安全資産である米国債が売られ0.09%高い1.75%となりました。ドル円は欧米株式相場の上昇を受けて投資家心理が改善し、円を売ってドルを買い戻す動きとなりました。朝方は113円台前半での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
欧米株高に加え、ドル円も113円を付け円安に振れていることから本日の日本市場は反発でのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は先週末に割り込んだ15,000円を回復して、先週末の下げをどこまで取り戻せるかがポイントとなりそうですが、2四半期ぶりのマイナス成長が見込まれ8時50分に発表となる昨年10-12月期の日本のGDPの結果や、1週間ぶりに取引が再開される上海市場の動向が注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)