マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場は原油価格の上昇を好感し大幅続伸 日本市場は米国株高で反発か
NYダウ: 16453.83 △257.42 (2/17)
NASDAQ: 4534.07 △98.11 (2/17)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場はイランが主要産油国による増産凍結決定を支持するとの立場を表明したことでの原油価格の上昇を好感して大幅続伸となりました。取引開始直後からじりじりと上げ幅を広げたダウ平均はFOMC議事要旨を受けて利上げ観測がやや後退し午後に290ドル高近くまで買われました。その後も高値圏で堅調に推移したダウ平均は結局257ドル高の16,453ドルと3日続伸となり高値圏で取引を終えました。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も98ポイント高の4,534ポイントとこちらも3日続伸となっています。
2.経済指標等
米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、経済見通しのリスクバランスを示せるほど手に入る情報から分かることは明確ではないとの見方で一致したものの、最近の世界的な金融市場の引き締りの状態が続くようなら下振れリスクが増す要因になり得るとみていることが明らかになりました。金融政策については次の手段を取る前に景気やインフレに関する追加の情報を待つのが賢明と判断していたこともわかりました。さらに、多くの参加者は最近の原油などの商品価格の下落やドル高などの動向に関連してインフレ見通しがやや不確かになった、もしくは下振れのリスクが増したとみていることがわかりました。1月の米卸売物価指数は前月比0.1%上昇し2カ月ぶりのプラスとなり低下を見込んでいた市場予想に反して上昇しました。また、1月の米鉱工業生産は前月比0.9%上昇し前月のマイナスからプラスに転じ市場予想を上回りました。米設備稼働率は前月比0.7ポイント上昇の77.1%で市場予想を上回っています。一方で1月の米住宅着工件数は年率換算で前月比3.8%減の109万9千戸で2カ月連続のマイナスで市場予想を下回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全10業種のうち公益事業を除く9業種が上げました。なかでもエネルギー、情報技術、一般消費財・サービスが2%を超える上昇となったほか、素材も2%近く上げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄中28銘柄が上げました。なかでも原油価格の上昇を受けてシェブロン(CVX)が4%高となりダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなったほか、ボーイング(BA)やキャタピラー(CAT)も3%を超える上昇となり、デュポン(DD)も3%近く上げています。一方でファイザー(PFE)とマクドナルド(MCD)が小幅に下げています。ダウ平均構成銘柄以外では2015年10-12月期の決算が市場予想を上回った携帯電話のTモバイルUS(TMUS)が堅調だったうえ、10-12月期決算は減収減益だったものの、市場予想を大きく上回ったGPS機器メーカーのガーミン(GRMN)が急伸しています。また、旅行予約サイトのプライスライン(PCLN)は決算が好感され大幅上昇となり、ガスパイプライン大手のキンダー・モルガン(KMI)が著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハサウェイ(BRK)による株式取得が報じられ買われました。メディア大手のガネット(GCI)は10-12月期の売上高が市場予想以上に落ち込んだことで大幅安となっています。
5.為替・金利等
長期金利は原油の上昇や米国株高を受けて安全資産の米国債が売られ前日比0.05%高い1.82%となりました。こうしたなかドル円は円売り・ドル買いがやや優勢となり114円近辺での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
米国株高を受けて本日の日本市場は反発でのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の16,000円を回復しそうですが、ドル円の動向をにらみながら16,000円を超えてどこまで上値を伸ばせるのかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)