マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場はドラギ総裁の発言で大きく売られるも持ち直しほぼ横ばい 日本市場は3カ月に一度のメジャーSQ
NYダウ: 16995.13 ▼5.23 (3/10)
NASDAQ: 4662.16 ▼12.22 (3/10)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場は小幅に高安まちまちで、ほぼ横ばいとなりました。ダウ平均とナスダック総合株価指数は反落となったものの、S&P500株価指数は続伸となりました。マイナス金利の拡大や量的緩和策の規模拡大といった欧州中央銀行(ECB)の追加金融緩和を好感し上昇して始まったダウ平均は一時130ドル高近くまで買われましたが、ドラギECB総裁が会見でさらなる利下げの必要性を否定し欧州株が下げるとマイナスに転じ、原油価格の下落もあって昼過ぎには180ドル安近くまで売られました。しかし、その後買い戻しが入り徐々に下げ幅を縮めたダウ平均は結局5ドル安の16,995ドルと下げ渋って取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も12ポイント安の4,662ポイントとなりました。一方でS&P500株価指数は0.3ポイント高の1,989ポイントとなっています。
2.経済指標等
先週一週間の新規失業保険申請件数は前週比1万8千件減の25万9千件で、3週ぶりに減少し市場予想を下回って改善しました。また、2月の米財政収支の赤字額は前年同月比0.1%増の1926億1400万ドルで2カ月ぶりに拡大しましたが、市場予想は下回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全10業種のうち素材や電気通信サービス、一般消費財・サービスなどの7業種が上げました。一方で資本財・サービス、情報技術、金融の3業種が下げています。
4.個別銘柄動向
決算が増収増益で、1株利益が市場予想を上回ったディスカウントストア大手ダラー・ゼネラル(DG)が10%高と急伸したほか、同じく決算で1株利益が市場予想を上回ったパーティー用品販売チェーンのパーティー・シティ・ホールドコ(PRTY)も急伸となりました。一方でドイツ取引所からオプション市場を運営するインターナショナル・セキュリティーズ取引所を買収すると発表した証券取引所運営のナスダック(NDAQ)が買収に伴う財務負担が懸念され小幅安となったうえ、2016年12月期通期の1株利益見通しの据え置きを発表したユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)も小幅に下げています。さらに社員流出を防ぐため一部社員のボーナスなどを増やしていると報じられたツイッター(TWTR)が大幅安となっています。
5.為替・金利等
長期金利はドラギ総裁がさらなる利下げを否定したことでの欧州国債への売りが波及し米国債が売られ0.06%高い1.93%となりました。ドル円はECBの追加緩和を受けて114円台まで円安が進みましたが、ドラギ総裁の発言を受けて一気に112円台後半まで円高に振れました。朝方は113円台前半での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
米国市場は持ち直しほぼ横ばいとなったものの、欧州株安や円高を嫌気して本日の日本市場は反落でのスタートが予想され、本日も日中はドル円に神経質な展開となりそうです。なお、本日は3カ月に一度のメジャーSQで、寄り付きの動向も注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)