マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場はFOMCの結果を好感し上昇 日本市場は円高で軟調なスタートか
NYダウ: 17325.76 △74.23 (3/16)
NASDAQ: 4763.97 △35.30 (3/16)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場は米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利見通しが予想以上に引き下げられたことが好感され上昇しました。FOMCの結果発表を午後に控え様子見で前日終値を挟んで方向感に欠ける展開となったダウ平均はFOMCの結果発表前に50ドル安近くまで下げていたものの、FOMCの結果発表を受けて買いが優勢となり一気に130ドル近くまで上げ幅を広げました。引けにかけてやや弱含んだものの結局ダウ平均は74ドル高の17,325ドルと4日続伸で取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も35ポイント高の4,763ポイントと反発しています。
2.経済指標等
米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)は金融政策の現状維持を決定するとともに、2016年末の政策金利見通しを昨年12月の1.375%から0.875%に引き下げました。これにより年内の利上げ回数の見通しをこれまでの4回から2回へと引き下げたことになります。2月の米CPIは前年同月比1.0%上昇し市場予想を上回りました。変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数も同2.3%上昇し市場予想を上回っています。 2月の米住宅着工件数は前月比5.2%増の117万8千件となり市場予想を上回っています。2月の米鉱工業生産は前月比0.5%低下し市場予想を超える低下となりました。2月の米設備稼働率は76.7%で市場予想を下回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全10業種のうちヘルスケアと金融を除く8業種が上げました。なかでも素材、エネルギー、情報技術が1%を超える上昇となり、公益事業と電気通信サービスも1%近く上げています。
4.個別銘柄動向
1株利益が市場予想を上回り、追加に自社株買いを発表したオラクル(ORCL)や、米連邦通信委員会の委員長が同業のチャーター・コミュニケーションズ(CHTR)による買収を認める方針と報じたことでケーブルテレビ大手タイム・ワーナー・ケーブル(TWC)が大幅高となりました。一方で石炭のピーボディ・エナジー(BTU)は債務再編が進まなかった場合に破産手続きに入る可能性があると米証券取引委員会に届け出たため急落しています。また、ニューヨーク証券取引所などを運営するインターコンチネンタル取引所(ICE)が軟調でした。ドイツ取引所とロンドン証券取引所グループが経営統合で合意したと発表しとことでインターコンチネンタル取引所によるロンドン証取の買収の可能性がなくなったことが嫌気されました。
5.為替・金利等
長期金利はFRBが金利見通しを引き下げたことで0.06%低い1.91%となりました。こうしたなかドル円は円高が進み朝方は112円台後半での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
米国市場は上昇となったものの、ドル円が112円台を付け円高に振れていることから本日の日本市場は軟調なスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が一目均衡表の転換線(昨日時点で16,893円)などにサポートされ底堅さをみせるのか、それとも雲の下限(16,828円)に頭を押さえられ水準を切り下げる展開となるのかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)