マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場でダウ平均は7日続伸 日本市場は円安もあり反発か
NYダウ: 17623.87 △21.57 (3/21)
NASDAQ: 4808.87 △13.23 (3/21)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
先週末の米国市場は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けて米連邦準備理事会(FRB)による利上げペースが緩やかなものになるとの見方が引き続き相場を支え続伸となりました。取引開始直後から上げ幅を広げたダウ平均は、午後にやや弱含む場面もありましたが大きく押すことなくその後も堅調に推移すると取引終盤には140ドル高近くまで買われました。結局ダウ平均は120ドル高の17,602ドルと6日続伸で取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も20ポイント高の4,795ポイントと3日続伸となりました。
週明けの米国市場は小幅続伸となりました。サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁の発言を受けて4月の利上げが意識され利益確定の売りが出て午前中には50ドル安余りまで下げる場面もあったダウ平均ですが、原油価格の上昇もあって午後には買いが優勢となり結局21ドル高の17,623ドルと7日続伸で取引を終えています。また、ナスダック総合株価指数も13ポイント高の4,808ポイントと4日続伸となりました。
2.経済指標等
先週末に発表となった3月のミシガン大学米消費者態度指数速報値は90.0で前月から1.7ポイント低下し市場予想を下回り昨年10月以来5カ月ぶりの低水準となりました。また、週明けに発表された2月の米中古住宅販売件数も年率換算で前月比7.1%減の508万戸となり3カ月ぶりに減少し市場予想を下回っています。
3.業種別動向
先週末の米国市場で業種別S&P500株価指数は全10業種のうち7業種が上げ、ヘルスケアと金融が1%を上回る上昇となりました。一方で電気通信サービス、公益事業、生活必需品の3業種が下げ、電気通信サービスは1%近く下落しました。
週明けの米国市場で業種別S&P500株価指数は全10業種のうち電気通信サービスやヘルスケア、情報技術などの6業種が上げました。一方で素材やエネルギーなど4業種が下げています。
4.個別銘柄動向
先週末の米国市場では、自社株買いを拡大すると発表したJPモルガン・チェース(JPM)や、四半期決算で売上高が市場予想ほど落ち込まなかった宝飾のティファニー(TIF)が3%近く上げました。また、決算が市場予想を上回ったソフトのアドビ・システムズ(ADBE)や、中国保険大手などの企業連合からマリオット・インターナショナル(MAR)の提示を上回る買収提案を受けたと発表したホテル運営のスターウッド・ホテルズ・アンド・リゾーツ・ワールドワイド(HOT)が大幅高となりました。さらにカナダのパイプラインのトランスカナダ(TRP)に身売りすると発表した同業のコロンビア・パイプライン・グループ(CPGX)も大きく上げています。一方で財務負担が懸念されトランスカナダは下げています。
週明けの米国市場では、英金融情報会社マークイット(MRKT)を株式交換により買収すると発表した米調査会社IHS(IHS)が10%高と急伸しました。マークイットも13%を超える上昇となっています。また、薬価のつり上げや売上高の水増し疑惑から株価が大きく下落していたカナダの製薬大手バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナル(VRX)は最高経営責任者(CEO)が退任すると発表したことなどで大幅高となりました。一方で同業のバルスパーを買収すると発表した塗料大手のシャーウィン・ウィリアムズ(SHW)が財務負担を懸念した売りから大幅安となっています。
5.為替・金利等
先週末の長期金利は日本や欧州の長期金利の低下につられる格好で0.02%低い1.87%となりました。週明けの長期金利は利益確定の売りが優勢で前週末比0.04%高い1.91%となりました。ドル円はサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁やアトランタ連銀のロックハート総裁が4月の追加利上げの可能性に言及したことで、ドルが主要通貨に対し買われる流れとなりやや円安となりました。朝方は112円台前半での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
米国市場が続伸となったことに加え、ドル円もやや円安となっていることから本日の日本市場は反発でのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が先週末の下げをどこまで取り戻せるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)