マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場は原油安を嫌気し下落 日本市場は続落スタートか
NYダウ: 17502.59 ▼79.98 (3/23)
NASDAQ: 4768.86 ▼52.80 (3/23)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場は、週間の石油在庫統計で原油在庫が市場予想を上回るペースで増えたことで下げた原油安を嫌気して下落しました。昼前に70ドル安程度まで売られたダウ平均は一旦切り返し持ち直す場面もありましたが、前日終値近辺で上値を押さえられると取引終盤で再び下げ幅を広げ一時100ドル安近くまで下落しました。引けにかけてやや下げ幅を縮めたダウ平均ですが結局79ドル安の17,502ドルと続落となりました。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も52ポイント安の4,768ポイントと6営業日ぶりの反落となっています。
2.経済指標等
2月の新築住宅販売戸数は年率換算で前月比2.0%増の51万2千戸と2カ月ぶりに増加し市場予想を上回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全10業種のうち公益事業と生活必需品を除く8業種が下げました。なかでもエネルギーが2%を超える下落となったほか、素材も1%以上の下げとなっています。
4.個別銘柄動向
決算で売上高などが市場予想を下回ったナイキ(NKE)が4%近く下落し、ダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。また、キャタピラー(CAT)、シェブロン(CVX)、IBM(IBM)が2%前後の下げとなり、この4銘柄でダウ平均を60ドル余り押し下げました。さらにC型肝炎治療薬の特許使用料の請求を巡る裁判で製薬のメルク(MRK)に敗訴したバイオ製薬のギリアド・サイエンシズ(GILD)が4%近く下げました。メルクは小幅に上昇しています。バイオ製薬のパッドロック・セラピューティクスを買収すると発表した製薬大手のブリストル・マイヤーズスクイブ(BMY)も買収負担を嫌気した売りで下げています。一方、決算で1株利益などが市場予想を上回った食品大手のゼネラル・ミルズ(GIS)が堅調だったほか、電力大手のエクセロン(EXC)との経営統合を巡って規制当局が承認する見通しだと伝わった同業のペプコ・ホールディングス(POM)が急伸しています。
5.為替・金利等
長期金利は米国株安や原油安を受けて安全資産の米国債が買われ0.06%低い1.88%となりました。ドル円はセントルイス連銀のブラード総裁が4月の利上げの可能性に言及したことで一時112円90銭台まで円安が進む場面もありましたが、朝方は112円台前半での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
米国市場が下落したことから本日の日本市場は続落でのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が5日移動平均線(昨日時点で16,937円)や一目均衡表の転換線(昨日時点で16,933円)などをサポートに下げ渋るかがポイントとなりそうで、本日も日中はドル円の動向をにらみながらの展開となりそうです。また、減損損失の計上で業績予想を昨日の引け後に下方修正し上場来初の連結ベースで最終赤字の見通しとなった三井物産(8031)や、同じく連結ベースで初の最終赤字の見通しと報じられた三菱商事(8058)に対するマーケットの反応が注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)