マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場は良好なISM製造業景況感指数を好感し上昇 日本市場は大幅下落の後で反発スタートか
NYダウ: 17792.75 △107.66 (4/1)
NASDAQ: 4914.54 △44.70 (4/1)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
先週末の米国市場は良好な経済指標を好感して上昇しました。サウジアラビアの副皇太子が増産凍結についてイランなどの産油国も参加することが条件と述べたと伝わったことでの原油価格の下落を嫌気して下げて始まったダウ平均は、しばらくして120ドル安近くまで売られましたが、予想を上回るISM製造業景況感指数の発表を受けて切り返すとプラスに転じました。午後に上げ幅を広げたダウ平均は結局107ドル高の17,792ドルと反発し年初来高値を付けました。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は44ポイント高の4,914ポイントと4日続伸となりこちらも年初来高値を更新しています。
2.経済指標等
3月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比21万5千人増え市場予想を上回りました。また、1月は従来の17万2千人から16万8千人に下方修正されましたが、2月は24万2千人から24万5千人に上方修正されています。失業率は労働参加率が63.0%と上昇したこともあって0.1%上昇し5.0%と市場予想を上回って昨年5月以来10カ月ぶりに悪化しました。平均時給は前年同月比で2.3%増と市場予想を上回りました。3月の米ISM製造業景況感指数は51.8と前月から2.3ポイント上昇し市場予想を上回りました。景気判断の境目となる50を上回るのは昨年8月以来で7カ月ぶりです。3月のミシガン大学米消費者態度指数確報値は91.0で速報値から1.0ポイント上昇し市場予想を上回っています。3月の米新車販売台数は1657万台となり市場予想を下回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全10業種のうち8業種が上げ、ヘルスケアと生活必需品が1%を超える上昇となりました。一方でエネルギーと電気通信サービスが下げ、エネルギーは1%を上回る下落となっています。
4.個別銘柄動向
四半期決算で赤字幅が拡大したカナダの通信機器のブラックベリー(BBRY)が大幅安となりました。また、原油安を受けてシェブロン(CVX)やエクソンモービル(XOM)が安く、3月の米新車販売台数が市場予想を下回ったことでフォード(F)やゼネラル・モーターズ(GM)が下げました。また、ホテルチェーンのスターウッド・ホテルズ&リゾーツ・ワールド(HOT)は中国の企業連合が買収から撤退したことで大きく下落しました。一方で前日に発表した新型車の予約が13万台を上回ったと明らかにしたテスラ・モーターズ(TSLA)が大幅高となっています。
5.為替・金利等
長期金利は変わらずの1.77%となりました。ドル円は米雇用統計や米ISM製造業景況感指数は良好な内容となったものの、FRBによる利上げペースが緩やかになるとの見方を変える内容ではなかったとして円買い・ドル売りが優勢となりました。朝方は111円60銭台での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
米国株高となる一方で、ドル円が111円台を付け円高に振れるなど強弱材料が入り混じるなか日本市場は先週末の大幅下落の後ということもあって反発でのスタートが予想されます。こうしたなか本日も日中はドル円に神経質な展開となりそうで、日経平均の一目均衡表の雲の下限(16,218円)にサポートされた格好で底堅さをみせるのか、それとも雲を下に抜ける展開となるのかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)