マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
悪材料が重なり日経平均は572円の大幅安
日本株式市場
悪材料が重なり日経平均は572円の大幅安
1.概況
本日の日経平均は572円安の1万6275円と大幅に続落しました。TOPIXやJPX日経400も大幅に下落した一方で、新興市場のマザーズ指数は小幅に上昇しました。熊本県の地震被害の拡大、G20財務相・中央銀行総裁会議において円高進行に対する日米の温度差が明らかとなったこと、さらに昨日行われた産油国の会合で増産凍結の合意が得られなかったことなどのリスク要因が重なり、日経平均は326円安の1万6521円と大幅に下落して寄り付きました。先週末の大引け時点では109円台後半だったドル円が107円台まで円高に振れたこともあって日経平均は寄り付き後も下げ幅を拡大しました。一時600円安近くまで下落する場面があった日経平均ですが、その後はやや持ち直し結局503円安で前引けをむかえました。日経平均は後場に入っても値を戻す力強さはなく、再びダラダラと下げ幅を広げると572円安と本日の安値圏での大引けとなりました。東証33業種は建設業のみ上昇し、残る32業種は下落しました。建設業には今後の復興需要や財政支出拡大が期待されて買われたようです。東証1部の売買代金は大幅安にもかかわらず2兆1312億円と活況の目安とされる2兆円を上回りました。
2.個別銘柄等
幅広い銘柄が大幅安となりました。東証1部の売買代金トップのトヨタ自動車(7203)は5%近く下落しました。円高進行に加えて、地震による部品供給網の寸断とそれに伴う生産遅れが懸念されたようです。その他売買代金2位のソニー(6758)が7%近く下落、メガバンク3行も3-4%台の下落と軒並み売られました。こうしたなか復興需要への期待から建設の一角が大幅高となりました。九州を地盤とする建設業として若築建設(1888)が前日比30%の大幅高となりました。その他不動テトラ(1813)が20%近く上昇、ライト工業(1926)が12.4%高などとなっています。一方、九州やその他の地区への観光客減少の懸念からインバウンド関連が軒並み売られました。中でも西鉄(9031)が8.4%安で年初来安値を更新したほか、長崎のハウステンボス運営会社を子会社に持つエイチ・アイ・エス(9603)は九州向けツアーの減少などが嫌気され12%近く下落し、こちらも年初来安値を更新しました。一方、九州を中心に低価格ドラッグストアを展開するコスモス薬品(3349)は2.5%高と上昇しています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
天災・円高・原油安というネガティブなニュースが重なったことで日本市場は大幅安となりました。週明け最初に開くマーケットが日本市場ということで、欧米市場の下落に備えて先んじてポジションを解消しておく売りも出たと見られます。まずは今夜の欧米市場が原油安に対してどのように反応するかが注目されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
上海市場と香港市場はともに大幅続落
上海総合指数:3033.66(-44.46)
香港のハンセン指数(日本時間16時時点):21051.96(-264.51)
1.概況
<中国本土市場>
上海総合指数は大幅に続落となりました。前日のドーハでの産油国会合が増産凍結に合意できなかったことを受けて原油安懸念が再燃し市場心理が悪化しました。下落して始まった上海総合指数は下げ幅を徐々に広げると、後場に一時1.8%安近くまで下落する場面もみられました。その後やや持ち直したものの、上海総合指数は結局1.4%安と大きく下落して取引を終えています。
<香港市場>
香港ハンセン指数は大幅続落となっています。ハンセン指数は先週末の米国株安に加え、産油国が増産凍結に合意できなかったことも嫌気され下落して寄り付くと、下げ幅を広げる展開となりました。後場に一時1.5%安近くまで売られましたが、節目の21,000ポイントを前に下げ渋るとやや下げ幅を縮めています。日本時間16時時点で4業種全てが下げ、なかでも金融事業株指数や不動産株指数、商工業株指数の3業種が1%を超える下落となっています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
香港市場はほぼ全面安となっています。なかでも原油価格の下落を受けてシノック(中国海洋石油・00883)が3%を超える下落となっているほか、ペトロチャイナ (中国石油天然気・00857)も2%余り下げるなど、エネルギー関連株が軒並み安くなっています。また、リスクオフとなるなか金融株も下げています。エイチエスビーシー (HSBC・00005)やインダコマシャルバンク (中国工商銀行・01398)などの銀行株が軟調となっているほか、チャイナライフイン (中国人寿保険・02628)やピンアンインシュランス (平安保険・02318)といった保険株も売られています。先週に大きく上昇していた食品のティンイー (康師傅・00322)は利益確定売りに押され5%以上下げています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川)