市況概況 - 朝 -

マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)

  • 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
  • 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況

執筆者:マネックス証券 プロダクト部

米国市場でダウ平均は2日間で267ドル安 日本市場は一段の円高もあり大幅続落か

NYダウ: 17773.64  ▼57.12 (4/29)
NASDAQ: 4775.36  ▼29.93 (4/29)

【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>

1.概況
28日の米国市場は大きく下落しました。下げて始まったダウ平均はその後昼前に前日終値近辺まで一旦持ち直しましたが、著名投資家のカール・アイカーン氏が保有していたアップル(AAPL)株をすべて手放したと述べたと午後に伝わると、アップル株の下落につられる格好でハイテク株を中心に売りが出て下げ幅を広げる展開となりました。取引終盤に一段安となり引け間際に245ドル安まで売られる場面もあったダウ平均は結局210ドル安の17,830ドルと3日ぶりの反落となり節目の18,000ドルを割り込んで安値圏で取引を終えました。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は57ポイント安の4,805ポイントと6日続落となっています。
29日の米国市場は欧州株安や冴えない経済指標を受けて続落となりました。下落して始まったダウ平均は昼前に180ドル安近くまで売られるとその後も軟調に推移しましたが、引けにかけて下げ幅を縮めると結局57ドル安の17,773ドルと続落して取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も29ポイント安の4,775ポイントと7日続落となっています。

2.経済指標等
28日に発表された1-3月期の米実質GDP速報値は年率換算で前期比0.5%増と前期の1.4%増から成長率が鈍化し市場予想も下回りました。週間の米新規失業保険申請件数は前週比9千人増の25万7千人と4週ぶりの増加となったものの、市場予想ほどは悪化しませんでした。
29日発表の3月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.1%増となり市場予想を下回りました。3月の個人所得は前月比0.4%増と市場予想を上回っています。変動の激しい食品とエネルギーを除くPCEコア物価指数は前年同月比1.6%上昇となり伸び率が前月から0.1ポイント鈍化したものの、市場予想とは一致しています。さらに1-3月期の米雇用コスト指数も前期比0.6%上昇し市場予想と一致しました。また、4月の米シカゴ購買部協会景気指数は50.4と前月の53.6から悪化し市場予想を下回りました。4月のミシガン大学米消費者信頼感指数確報値も89.0と前月の91.0から低下し市場予想を下回っています。

3.業種別動向
28日の米国市場で業種別S&P500株価指数は全10業種のうち生活必需品を除いた9業種が下げました。なかでも情報技術とエネルギー、一般消費財・サービス、金融の4業種が1%を超える下落となっています。
29日の米国市場で業種別S&P500株価指数は全10業種のうち7業種が下げました。なかでもヘルスケアが1%を超える下落となったほか、情報技術も1%近く下げています。一方で公益事業と一般消費財・サービが上げ、電気通信サービスは変わらずとなっています。

4.個別銘柄動向
28日の米国市場ではダウ平均構成の30銘柄全てが下げました。なかでもアップルが3%安となったほか、シスコシステムズ(CSCO)やIBM(IBM)、マイクロソフト(MSFT)、インテル(INTC)も2%以上下げるなどハイテク株が幅広く売られました。一方1-3月期決算で純利益が大幅増益となったフォード(F)が大幅高となっています。
29日の米国市場では四半期決算や業績見通しが市場予想を下回ったバイオ製薬のギリアド・サイエンシズ(GILD)が9%安と急落しました。また、1-3月期決算で市場予想よりも最終損益の赤字幅が大きかったシェブロン(CVX)が小幅に下落しています。一方で1-3月期決算は原油安の影響を受け大幅減益だったものの1株利益が市場予想を上回ったエクソンモービル(XOM)は堅調でした。さらに1-3月期が市場予想を上回る増収増益となり、目標株価の引き上げが相次いだアマゾン・ドット・コム(AMZN)が10%近く上昇しています。

5.為替・金利等
28日の長期金利は米国株安を受けて安全資産の米国債が買われ0.03%低い1.82%となりました。29日の長期金利は欧州市場で主要国の国債利回りが上昇した流れが波及し0.01%高い1.83%となりました。
ドル円は日銀が金融政策決定会合で追加緩和を見送ったことから東京時間で円高に振れた流れを引き継ぐなか、PCEコア物価指数の伸びが前月から鈍化したことなどからFRBが利上げを急がないとの見方も円買い・ドル売りに拍車をかけ一段と円高になりました。朝方は106円台後半での推移となっています。

【VIEW POINT: 今日の視点】
米国市場でダウ平均が28日と29日の2日間で267ドル安と大きく下げたことに加え、ドル円が大幅な円高となっていることから本日の日本市場は大幅続落でのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は大きく下げ幅を広げ下値模索となりそうで、ドル円の動向に神経質な展開となりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)

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