マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
日本市場が休場中の米国市場でダウ平均はトータルで112ドル安 休場明けの日本市場は続落でのスタートか
NYダウ: 17660.71 △9.45 (5/5)
NASDAQ: 4717.09 ▼8.55 (5/5)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場では、2日に割安感の出ていたハイテク株の一角に買い戻しが入り117ドル高と反発したダウ平均ですが、3日に中国の4月の財新製造業PMIが前月から悪化し市場予想も下回ったことなどで世界景気の先行き不透明感が強まり140ドル安と反落すると、4日はADP全米雇用リポートで民間部門の雇用者数の伸びが市場予想に届かなかったことなどが嫌気され99ドル安と続落となりました。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も2日に42ポイント高と8日ぶりに反発しましたが、3日に54ポイント安となると4日も37ポイント安と続落となっています。
そして昨日の米国市場は米雇用統計の発表を控え様子見となるなか小幅に高安まちまちとなりました。午前中に原油価格の上昇を好感して80ドル高余りまで買われたダウ平均ですが、様子見ムードが強まり上値が伸び悩むと午後にマイナスに転じ取引終盤には35ドル安まで下落する場面もありました。引けにかけて持ち直したダウ平均ですが結局9ドル高の17,660ドルと3日ぶりに小幅に反発して取引を終えています。一方でナスダック総合株価指数は8ポイント安の4,717ポイントと3日続落となっています。
2.経済指標等
2日に発表となった4月のISM製造業景況感指数は50.8と前月の51.8から低下し市場予想を下回りました。3月の米建設支出は年率換算で前月比0.3%増の1兆1374億8800万ドル2カ月連続で増加し市場予想を下回りました。
3日発表の4月の米新車販売台数は前年同月比3.6%増加し年率換算で1742万台となったものの、市場予想は下回っています。
4日に発表された4月のADP全米雇用リポートで民間部門雇用者数は前月比15万6000人増に止まり市場予想も下回りました。3月の米貿易収支の赤字額は前月比13.9%減の404億4300万ドルとなり、4カ月ぶりに赤字幅が減少しています。1-3月期の米労働生産性指数速報値は前期比年率で1.0%低下し前四半期に続くマイナスとなりましたが、市場予想は上回りました。4月の米ISM非製造業景況感指数は55.7と前月の54.5から改善し市場予想を上回りました。3月の米製造業受注は前月比1.1%増の4583億7700万ドルと2カ月ぶりのプラスとなり市場予想を上回っています。
昨日に発表となった先週一週間の新規失業保険申請件数は前週比1万7000件増の27万4000件と市場予想を上回って悪化しました。
3.業種別動向
2日の米国市場で業種別S&P500株価指数は一般消費財・サービスや金融、生活必需品など10業種全てが上げましたが、3日は一転してエネルギー、素材、金融など10業種全てが下げました。4日は公益事業、生活必需品、電気通信サービスの3業種が上げる一方で、エネルギー、資本財・サービス、ヘルスケア、素材などの7業種が下げています。そして昨日は全10業種のうちエネルギーやヘルスケアなど4業種が上昇し、一般消費財・サービスや電気通信サービスなど6業種が下落しました。
4.個別銘柄動向
2日の米国市場ではハイテク株の一角に買戻しの動きがみられ、マイクロソフト(MSFT)が5日ぶりに反発したほか、グーグルの持ち株会社アルファベット(GOOGL)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)なども買われ、アマゾン・ドット・コムは3%を超える大幅高となりました。また、1-3月期決算が市場予想を上回る増収増益となった食品卸売大手のシスコ・コーポレーション(SYY)も大きく上げています。
3日は四半期決算で赤字幅が拡大した資源開発関連サービス大手のハリバートン(HAL)が大きく下げましたが、その一方1-3月期決算で売上高が市場予想ほど悪化しなかったソフトバンクグループ(9984)傘下の米携帯電話4位のスプリント(S)が大幅高となったほか、1-3月期決算が増収増益となり、2016年12月期通期の業績見通しを引き上げた製薬大手のファイザー(PFE)が3%近く上昇しました。
4日は経営幹部の退職が伝わった電気自動車のテスラ・モーターズ(TSLA)が4 %以上下落したうえ、同様に経営幹部の退職を発表したスポーツ衣料のアンダー・アーマー(UA)も大きく下げましたが、市場予想を上回る四半期決算を発表したタイムワーナー(TWX)などが買われています。
昨日は決算で売上高が市場予想に届かなかった製薬のメルク(MRK)や食品のケロッグ(K)が軟調となった一方で、四半期決算が増収増益だった中国の電子商取引最大手のアリババ集団(BABA)が4%近い大幅上昇となっています。
5.為替・金利等
2日の長期金利は米国株高を受けて安全資産の米国債が売られ前週末比0.04%高い1.87%となり、3日は世界景気の先行き不透明感から買われ安全資産の米国債が買われ0.08%低い1.79%となりました。4日はADP全米雇用リポートが冴えない内容となったことから0.02%低い1.77%となっています。昨日は0.03%低い1.74%となっています。
ドル円はオーストラリア準備銀行の利下げを受けて円が豪ドルに対して急上昇したことを背景に3日に一時105円台半ばまで円高が進む場面がありましたが、利益確定や持ち高調整を目的とした円売りが出て円安に振れ107円台前半での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
日本が休場中に米国市場でダウ平均がトータルで110ドル以上の下落となったことや、円高への警戒感もあり休場明けの本日の日本市場は続落でのスタートが予想されます。米雇用統計の発表を控えた大型連休の谷間で様子見となりやすいなか、日経平均が引き続き節目の16,000円を維持できるかがポイントとなりそうで、ドル円の動向に神経質な展開が続きそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)