マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
日経平均40円安と6日続落 今夜は21時半発表の米雇用統計に注目
日本株式市場
日経平均40円安と6日続落 今夜は21時半発表の米雇用統計に注目
【日本株式市場】
1.概況
本日の日経平均は40円安の1万6106円と小幅に下落し、6日続落となりました。TOPIXやJPX日経400も小幅安となった一方で、新興市場のマザーズ指数は4.2%高と大幅に続伸しました。日本の休場中にダウ平均は計110ドル超下落しましたが、前営業日まで5日続落で1,400円超下落していたことから短期的な反発を期待した買いが入ったのか、日経平均は65円高と反発して寄り付きました。ただ、本日の日本市場は今夜に米雇用統計という重要な発表を控えて大きな方向感が出ない1日となりました。寄り付き後に上げ幅を120円超まで広げた日経平均ですが、急速に上げ幅を縮めてマイナスに転じるとその後は下げ幅を広げて11時前には一時1万6000円の節目を割り込む場面がありました。前場を115円安で終えた日経平均は、しばらくは同水準での推移が続きましたが14時過ぎから徐々に下げ幅を縮めて小幅安で大引けをむかえました。日経平均やTOPIXは下落しましたが、東証1部の値上がり銘柄数993に対し値下がりは843と値上がり銘柄数が多くなりました。東証1部の売買代金は2兆2385億円と前営業日から15%近く減少しました。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金トップのトヨタ自動車(7203)は小幅に反発したものの、2位の三菱UFJ(8306)から6位のファナック(6954)までは下落しました。中でも売買代金3位のソニー(6758)は国内証券が目標株価を引き下げたことが嫌気され4%近い下げとなりました。材料が出たところでは、サントリー食品インターナショナル(2587)が8%近く急騰しました。2日の引け後に発表した1-3月期の決算が前年同期比23%の営業増益と高い伸びとなったことが好感されました。一方、同じく2日の引け後に決算を発表したオリンパス(7733)は4.6%安となりました。平成28年3月期は14.8%の営業増益となるなど過去最高益を更新しましたが、今期予想を14%近い営業減益と発表したことが嫌気されたようです。
【VIEW POINT: 明日への視点】
高く始まった日経平均ですが、結局小幅安で取引を終えました。日経平均は急落したとはいえ予想PERが15倍弱と大幅な割安感が出ているわけではない一方で、米雇用統計という重要なイベント発表を前にしているということで方向感が出にくかったようです。今夜は21時半に米雇用統計が発表されます。市場予想では非農業部門雇用者数は前月差20万人増と堅調な改善が予想されています。発表前後は米ドル円などの外国為替が大幅に変動する可能性があり注意が必要です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
上海市場は大幅反落 香港市場は大幅続落
上海総合指数:2913.25(-84.59)
香港のハンセン指数(日本時間16時時点):20149.73(-300.09)
1.概況
<中国本土市場>
5月2日はメーデーのため、本土市場は休場でした。習近平国家主席が先週末の中央政治局会議で「株式市場の健全な発展を促す」と明言したことに加え、中国政府が企業の売り上げにかける「営業税」を廃止し、売り上げから仕入れを引いた粗利にかける「増値税」に一本化する税制改革を実施し、景気のてこ入れへ大規模な減税に乗り出したことも好感され、休場明け3日の上海総合指数は1.9%近く上昇しました。その後、上海総合指数は4日から5日にかけて節目の3,000ポイントの近辺で揉み合う展開となりました。本土市場がMSCI新興国市場指数に採用される可能性から国際的な資金流入期待が高まった一方、心理的な節目である3,000ポイントを回復したことで利益確定売りに押されました。
そして本日の上海総合指数は大幅に反落しました。深セン・香港ストックコネクトの導入観測による資金流入期待などから前場に一時節目の3,000ポイントを回復する場面がみられた上海総合指数ですが、創業板指数の大幅下落が投資家心理の重石となったほか、節目の3,000ポイントを回復したことで利益確定売りも出て、買いが続かず、マイナスに転じると下げ幅を徐々に広げる展開となりました。後場に入っても安値圏での推移が続き、引けにかけて一段安となり、結局上海総合指数は2.8%安で取引を終えています。
<香港市場>
5月2日はメーデーのため、香港市場も休場でした。休場明けの3日は、中国の4月の財新製造業PMIが49.4と前月から悪化し市場予想も下回ったことを受けてハンセン指数は1.9%安近く下落し節目の21,000ポイントを割り込みました。その後、米国株安に加え、元安の流れや上海総合指数の伸び悩みなども重石となり、ハンセン指数が4日から5日にかけても軟調な推移が続きました。
本日の香港ハンセン指数は5日続落となっています。小幅に下落して始まったハンセン指数は、今夜に発表される米雇用統計を見極めたいとの思惑に加えて本土市場の下落も嫌気され、しばらくして下げ幅を広げるとその後も軟調な推移となっています。日本時間16時時点で4業種全てが下げ、なかでも不動産株指数と金融株指数が1%超下落しているほか、商工業株指数も1%近い下げとなっています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
3日から5日までの香港市場は欧州の銀行最大手のエイチエスビーシー (HSBC・00005)が3日間で5%近く下落し、ハンセン指数を約100ポイント押し下げました。2016年1-3月期の決算が市場予想を上回る改善となりましたが、材料出尽くし感から売られました。また、米国ハイテク企業の冴えない決算発表を受けて値嵩株のインターネット大手のテンセント (騰訊控股・00700)も大きく売られました。一方で、リスクオフムードが強まるなか電力のパワーアセット (電能実業・00006)などのディフェンシブ銘柄が堅調に推移しました。
本日の香港市場はほぼ全面安となっています。なかでもレールウェイコンストラクション (中国鉄建・01186)が大幅に下落しています。アモイ翔安新機場片区の地下共同溝の建設運営事業をPPP(官民パートナーシップ)方式で受注したと発表しましたが、西安市の4つの用地を購入したことから財務負担が懸念されたようです。また、4月の不動産販売額が30%減となったことを受けて不動産のチャイナジンマオ (中国金茂・00817)が3%超下落しています。リソーシズランド (華潤置地・01109)やチャイナオーバーシー (中国海外発展・00688)といった不動産株も連れ安となっています。リスクオフムードが強まるなか、ピンアンインシュランス (平安保険・02318)やチャイナライフイン (中国人寿保険・02628)といった保険株が下げているほか、エイチエスビーシーやコンストラクションバンク (中国建設銀行・00939)などの銀行株も冴えない展開となっています。さらに、マカオ政府が来週から電話でのカジノ賭博を禁止すると伝わったことが嫌気されカジノ株のギャラクシー・エンターテインメント(銀河娯楽・00027)も大きく売られています。
一方で、連日で下げていたテンセントが値ごろ感から1%超上昇し、相場の支えとなっています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川)