マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場は6月の利上げが意識され大幅反落 日本市場は8時50分に発表となる1-3月期のGDPに注目
NYダウ: 17529.98 ▼180.73 (5/17)
NASDAQ: 4715.73 ▼59.73 (5/17)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場は良好な経済指標や連銀総裁のタカ派発言を受けて6月の利上げが意識され反落となりました。下落して始まったダウ平均は100ドル安程度まで売られると一旦下げ渋りましたが、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁とアトランタ連銀のロックハート総裁の6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの可能性に含みを持たせる発言が午後に伝わると一段安となりました。取引終盤に240ドル安まで下落する場面もあったダウ平均は引けにかけてやや持ち直したものの、結局180ドル安の17,529ドルと大きく下げて取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も59ポイント安の4,715ポイントとなっています。
2.経済指標等
4月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇し市場予想を上回りました。また、変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数は前月比0.2%上昇し市場予想と一致しています。 4月の米住宅着工件数は年率換算で前月比6.6%増の117万2千戸となり市場予想を上回りました。さらに4月の米鉱工業生産は前月比0.7%上昇し3カ月ぶりのプラスとなり市場予想を上回っています。4月の米設備稼働率も前月比0.5ポイント上昇の75.4%となり市場予想を上回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全10業種のうちエネルギーを除く9業種が下げました。なかでも生活必需品、公益事業、一般消費財・サービス、情報技術、ヘルスケアの5業種が1%を超える下落となっています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄中27銘柄が下げました。なかでもホームセンターのホーム・デポ(HD)は好決算と同時に売上高見通しを引き上げたものの、材料出尽くしによる利益確定の売りで2%を超える下げとなり、ダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。また、アメリカン・エキスプレス(AXP)やコカ・コーラ(KO)、マイクロソフト(MSFT)も2%前後の下げとなっています。一方でキャタピラー(CAT)とデュポン(DD)が小幅に上昇したほか、JPモルガン・チェース(JPM)が変わらずとなっています。ダウ平均構成銘柄以外では大株主の投資ファンドが身売りの検討を要請したインターネットラジオ局を運営するパンドラ・メディア(P)が大幅高となり、決算が市場予想を上回った子供用アパレル・アクセサリー小売りのチルドレンズ・プレイス(PLCE)も大きく上げています。
5.為替・金利等
長期金利は6月の利上げが意識され0.02%高い1.77%となりました。こうしたなかドル円は109円台後半まで円安に振れる場面もありましたが、米国株安を受けて次第に円が買われ朝方は109円台前半での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
本日の日本市場は米国株安を受けて反落でのスタートが予想されますが、取引開始前の8時50分に発表される1-3月期の日本の国内総生産(GDP)次第で波乱もありそうです。うるう年効果もあって前期比年率換算で小幅なプラスが予想されていますが、予想に反してマイナス成長になると政策期待が高まる可能性もありそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)