マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
日経平均1円高とほぼ横ばい 改めて今夜の米国市場の反応に注目
日本株式市場
1.概況
本日の日経平均は、1円高の1万6646円と小幅に反発した一方で、TOPIXやJPX日経400は下落とまちまちでした。新興市場のマザーズ指数は1.7%高と上昇しています。昨日発表された4月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、参加者の多くが条件を満たせば6月の会合で利上げを実施する意向だったことが判明して早期利上げが意識され、ドル円が110円台まで上昇したことを受け日経平均は162円高の1万6807円で寄り付きました。日経平均は寄り付き後に200円高近くまで上昇する場面もありましたがその後は徐々に上げ幅を縮めました。早期の利上げ実施による米国景気の停滞や米国株の調整が懸念されたのか、日経平均は前場を通して上げ幅を縮めると前引け間際にマイナスに転じました。後場寄りこそプラスに転じたものの、すぐにマイナス圏に沈むとその後は前日終値を挟んだもみ合いとなりました。結局日経平均は1円高とほぼ横ばいで取引を終えています。東証1部の売買代金は、1兆9227億円と活況の目安とされる2兆円を割り込みました。東証33業種は保険業やその他製品など11業種が上昇した一方、5%超の下落となった鉱業など22業種が下げています。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金トップのトヨタ自動車(7203)は0.8%安と4日ぶりに反落しました。円安が進んだことから、トヨタ以外の自動車各社は概ね小幅に上昇しています。中でも燃費データを不正に取得していたとして昨日大幅安となったスズキ(7269)は、悪質性が低く今後の影響は限定的との思惑が働いたのか売買代金3位に入って本日は3.5%高と反発しました。材料が出たところでは、衣料品のネット通販サイトZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ(3092)は7.4%の大幅安となりました。大株主である代表取締役の保有株が売り出されることによる需給悪化が懸念されたようです。また、家電量販店を展開するケーズホールディングス(8282)は5.3%下落しました。国内証券が目標株価を引き下げたことが嫌気されました。
【VIEW POINT: 明日への視点】
昨日発表されたFOMC議事要旨は、6月に利上げが実施される可能性を高めるタカ派的な内容でした。ドル円は110円台まで円安に振れたものの、金融引き締めによる米景気の停滞などが懸念されたのか、日経平均は上値を伸ばすことができませんでした。まずは今夜の米国株式市場がどのような反応を示すのか見極めたいとの思惑も働いたとみられます。改めて今夜の米国市場の動向が注目されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
上海市場はほぼ横ばい 香港市場は続落
上海総合指数:2,806.91(-0.61)
香港のハンセン指数(日本時間16時時点):19,704.39(-122.02)
1.概況
<中国本土市場>
上海総合指数は3日続落したもののほぼ横ばいでした。前日に続き売りが先行した上海総合指数ですが、節目の2,800ポイントの近辺で底堅さをみせるとまもなくプラスに転じました。その後は国務院(内閣に相当)による向こう2年をかけて石炭や鉄鋼産業の生産能力を1割削減する方針を受けて石炭と鉄鋼株が買われ一時0.8%高まで上昇する場面がありましたが、投資家心理が弱気に傾いているなか上値が伸び悩むと上げ幅を徐々に縮め軟調な展開となりました。結局上海総合指数は2,800ポイントを維持しほぼ横ばいで取引を終えています。
<香港市場>
ハンセン指数は続落となっています。昨日発表された米国のタカ派的なFOMC議事要旨を受けてFRBによる6月の利上げ警戒が強まりハンセン指数は下落して寄り付くとしばらくして0.9%安まで売られました。一時下げ幅を縮める場面もありましたが、値嵩株のテンセント (騰訊控股・00700)が大きく売られたことが相場の重石となり、その後は下げ幅を再び広げ軟調な推移となっています。日本時間16時時点で公益事業株指数が小幅に上昇している一方、商工業株指数が1%超下落しているほか、金融株指数と不動産株指数も下落しています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
香港市場では、インターネット大手のテンセントが大幅に下落しています。2016年1-3月期決算は堅調な結果となったものの、オンライン広告収入が前四半期比で減少したことなどが嫌気されたようです。また、原油価格の下落を受けてシノック(中国海洋石油・00883)やペトロチャイナ (中国石油天然気・00857)などのエネルギー株も軟調な推移となっています。さらに、米国の早期利上げ観測の再燃を嫌気しヘンダーソンランド (恒基不動産・00012)やサンフンカイプロパティーズ (新鴻基不動産・00016)といった香港系の不動産株が続落しています。
一方で、米利上げは米国や香港での預貸利ざや改善につながるとの見方から、欧州の銀行最大手のエイチエスビーシー (HSBC・00005)が買われています。また、「ZUK Z2」という新たなスマートフォンが発売されるとの期待からパソコン大手のレノボグループ (聯想集団・00992)も一時2%超上昇する場面がありましたが、ほぼ横ばいとなっています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川)