マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
円安進行受け日経平均は4日続伸し1万7000円の節目を回復も東証1部の売買代金は今年最低を更新
日本株式市場
1.概況
本日の日経平均は233円高の1万7068円と4日続伸して4月27日以来約1カ月ぶりに終値で1万7000円の節目を回復しました。TOPIXやJPX日経400、新興市場のマザーズ指数もそれぞれ上昇しました。先週末の米国株が小幅に上昇し、イエレンFRB議長の早期利上げに前向きな姿勢を受けて円安ドル高が進んだことや、週末に安倍総理大臣が消費税増税を正式に2年半延期する意思を固めたと報じられたことなどから日経平均は138円高と続伸して寄り付きました。日経平均は寄り付き後に75円高まで上げ幅を縮めましたが、その後徐々に円安が進むと再び上げ幅を拡大し、前場を150円高で終えました。日経平均は後場に入ると一段高となって1万7000円の節目を回復するとその後は高値圏でのもみ合いとなる時間が続きました。日経平均は14時半過ぎから引けにかけてさらに上げ幅を広げると、結局高値引けとなっています。東証1部の売買代金は1兆5604億円と今年最低を更新し、8営業日続けて活況の目安とされる2兆円を割り込みました。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金トップにはトヨタ自動車(7203)が入り、1.7%高と堅調でした。円安進行を受けその他の自動車各社も堅調で、日産(7201)、富士重工業(7270)、ホンダ(7267)、マツダ(7261)はいずれも3%台の上昇となりました。一方、売買代金2位に入ったガンホー(3765)は7.4%安と大幅に反落しました。代表作の「パズル&ドラゴンズ」の中国版の事前登録を開始したと発表し先週末に大幅高となった反動で売られました。その他の売買代金上位銘柄はメガバンク3行や東芝(6502)、ソフトバンクグループ(9984)、村田製作所(6981)など軒並み上昇しました。一方、日本取引所がインサイダー取引の調査を始めたと報じられ先週末にストップ安となったマザーズ上場のバイオベンチャーのアキュセラ・インク(4589)は、本日も売りが殺到して値がつかずストップ安比例配分となりました。
【VIEW POINT: 明日への視点】
円安進行や増税延期報道を受け日経平均は1万7000円の節目を回復しました。日経平均が終値で1万7000円を回復したのは日銀が4月末に追加金融緩和を見送って失望売りから急落した前日(4月27日)以来で、約1カ月かけて下げを取り戻した格好となりました。今週はISM製造業景況感指数や雇用統計といった米国の重要経済指標の発表に加えて、安倍総理大臣が正式に増税延期を表明するのではないかと報じられています。今週はそれらの発表内容やドル円相場を見極めながらの値動きとなりそうです。また、低迷の続く売買代金に回復がみられるかも注目されます。なお、今夜の米国市場は戦没者追悼記念日(メモリアルデー)のため休場です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
上海市場はほぼ横ばい 香港市場は5日続伸
上海総合指数:2,822.45(+1.40)
香港のハンセン指数(日本時間16時時点):20,638.12(+61.35)
1.概況
<中国本土市場>
上海総合指数は小幅に反発したもののほぼ横ばいでした。中国人民銀行による人民元の対ドルレートの目安となる基準値が大幅に元安に設定され5年3カ月ぶりの元安となったことが嫌気され、上海総合指数は下落して始まるとまもなく節目の2,800ポイントを割り込み一時1%安近く下落する場面もありました。その後は買い戻されるとプラスに転じましたが、買いが続かず先週末の終値を挟んで揉み合う展開となり、結局上海総合指数は1ポイント高とほぼ横ばいで取引を終えています。
<香港市場>
ハンセン指数は5日続伸となっています。イエレンFRB議長のタカ派的(金融引き締めに積極的)な発言を受けて米国の早期利上げ懸念が燻るなかハンセン指数は下落して寄り付くとしばらくして0.5%安まで売られました。但し、本土市場の持ち直しを受けて切り返しプラスに転じるとその後は上げ幅を広げ一時0.9%高まで上げる場面もみられました。後場に入ると上げ幅をやや縮めたものの、プラス圏での推移が続いています。日本時間16時時点で不動産株指数や金融株指数、商工業株指数の3業種が上げ、なかでも不動産株指数が1%を超える上昇となっています。一方で、公益事業株指数が小幅に下落しています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
香港市場では、先週に大きく下げていた電力のチャイナリソーシズ (華潤電力・00836)が値ごろ感から買いが入り3%超上昇しています。また、本土市場での増資計画(最大120億元)が材料視されCRRC (中国中車・01766)も買われています。中国・深セン市場との株式相互取引の開始が近く発表されるとの観測からホンコンエクスチェンジ (香港証券取引所・00388)が小幅ながら続伸しています。さらに、カジノのサンズチャイナ(金沙中国・01928)やギャラクシー・エンターテインメント(銀河娯楽・00027)も堅調推移となっています。
一方で、後場に取引を再開した中国の商業不動産大手の大連万達集団傘下のワンダコマーシャル (万達商業・03699)が軟調に推移しています。非公開化計画の詳細を発表したことで材料出尽くしの売りに押されました。相次いで外資系証券が目標価格を引き下げたことが嫌気され食品のティンイー (康師傅・00322)が5%近い下落となっています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川)