マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
先週末の米国市場は冴えない雇用統計で反落 日本市場は円高を嫌気して反落か
NYダウ: 17807.06 ▼31.50 (6/3)
NASDAQ: 4942.52 ▼28.85 (6/3)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
先週末の米国市場は冴えない雇用統計を受けて反落となりました。下落して始まったダウ平均は午前中に150ドル安近くまで売られましたが、FRBが利上げを急がないとの見方が相場を支え徐々に下げ幅を縮める展開となりました。ただ、前日終値近辺では上値が重く結局31ドル安の17,807ドルと3日ぶりの反落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も28ポイント安の4,942ポイントと8日ぶりの反落となっています。
2.経済指標等
5月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比3万8千人増と5年8カ月ぶりの低水準となり市場予想を大きく下回りました。また、3月が従来の20万8千人増から18万6千人増に、4月は16万人増から12万3千人増にそれぞれ下方修正されました。失業率は0.3ポイント低い4.7%に改善し2007年11月以来の低水準となりましたが、労働参加率も62.6%と前月の62.8%から低下しています。平均時給は前月と同じく前年同月比2.5%増となり市場予想と一致しました。5月のISM非製造業景況感指数は52.9と前月の55.7から悪化し市場予想も下回りました。4月の製造業受注高は前月比1.9%増の4605億800万ドルと2カ月連続で増加し市場予想と一致しています。民間設備投資の先行指標となる資本財から国防関連と航空機を除くコア資本財は0.6%減となりました。4月の貿易収支の赤字額は前月比5.3%増の374億3600万ドルで2カ月ぶりに拡大したものの市場予想は下回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全10業種のうち金融や一般消費財・サービス、情報技術などの6業種が下げ、金融が1%を上回る下落となりました。一方で公益事業、素材、生活必需品、電気通信サービスの4業種が上げ、公益事業が1%を超える上昇となっています。
4.個別銘柄動向
利上げが遅れるとの見方から利ザヤ改善による収益拡大といった期待が後退し金融株が売られました。バンク・オブ・アメリカ(BAC)が3%を超える下げとなったほか、ウェルズ・ファーゴ(WFC)やJPモルガン・チェース(JPM)も2%近く下落しています。また、ゴールドマン・サックス(GS)が2%を超える下げとなり、ダウ平均構成銘柄で下落率トップとなっています。一方で5月の既存店売上高が市場予想ほど減らなかった衣料のギャップ(GPS)が大幅高となっています。
5.為替・金利等
長期金利は利上げ時期が遅れるとの見方から0.10%低い1.70%となりました。こうしたなかドル円は円高に振れ朝方は106円台半ばでの推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
本日の日本市場は大幅な円高を受けて反落でのスタートが予想されます。日経平均は節目の16,500円を割り込みそうで、ドル円の動向に神経質な展開が予想されるなか下げ幅を広げる展開となった場合には一目均衡表の雲の下限(16,239円)がサポートとなるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)