マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
日経平均反落も朝方の大幅安から下げ幅縮める 今夜はイエレンFRB議長の講演に注目
日本株式市場
1.概況
本日の日経平均は62円安の1万6580円と反落しました。TOPIXやJPX日経400、新興市場のマザーズ指数など主要指数は総じて下落しました。先週末に発表された米雇用統計の非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に下回る伸びに終わり早期利上げの思惑が遠のいたことを受け、雇用統計発表前に109円台近かったドル円は106円台まで円高に振れました。大幅な円高進行、および先週末の米国株が下落したことを受け本日の日経平均は268円安と大幅に反落して寄り付きました。日経平均は寄り付き後に下げ幅を320円近くまで広げましたが、その後は1日を通して徐々に下げ幅を縮める展開となりました。徐々に盛り返して前場を189円安で終えた日経平均は、ドル円が107円台まで値を戻したこともあって後場寄りからさらに下げ幅を縮めました。1万6500円前後での推移が続いていた日経平均ですが、14時半過ぎからさらに下げ幅を縮めて62円安と結局1日の高値圏で取引を終えています。東証1部の売買代金は1兆8267億円と連日で2兆円の節目を下回りました。東証33業種は鉄鋼や電気・ガス業、陸運業など9業種が上昇した一方で証券商品先物や鉱業など24業種が下落しています。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金トップに入ったトヨタ自動車(7203)は0.1%安と、大幅な円高が進行したわりには小幅な下げにとどまりました。その他の自動車各社を見てみると、富士重工業(7270)も0.2%安と小幅な下げだった一方で、ホンダ(7267)が1.9%安、スズキ(7269)は2.4%安などとなっています。その他の売買代金上位銘柄は、売買代金2位の三菱UFJ(8306)が1.5%安となるなどメガバンク3行は揃って1%台の下落となりました。一方、売買代金3位に入ったソフトバンクグループ(9984)は、1.2%高としっかりでした。アリババ(BABA)株の売却に続いて保有するガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)の株式の9割を売却すると発表し、財務体質強化を図っていることが好感されたようです。材料が出たところでは、先週末の大引け後に業績予想の大幅な下方修正を発表した大塚家具(8186)が8.1%安と売られました。通期の営業利益予想を従来の5億円の黒字から15億円超の赤字に修正しています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
大幅な円高進行を受け寄り付きから大幅安となった日経平均ですが、徐々に下げ幅を大幅に縮める底堅い展開でした。今夜はイエレンFRB議長の講演が予定されています。5月下旬の講演の際には「数ヶ月以内の利上げが適切である」という主旨の発言を行ったイエレン議長ですが、ネガティブ・サプライズとなった雇用統計を受け発言に変化があるか注目されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
上海市場は小幅反落 香港市場は小幅続伸
上海総合指数:2,934.10(-4.58)
香港のハンセン指数(日本時間16時時点):20,963.40(+16.16)
1.概況
<中国本土市場>
上海総合指数は小幅反落となりました。先週末に発表された冴えない米雇用統計を受けてドル安元高となったことで短期的な資金流失懸念が和らぐなか買いが先行した上海総合指数ですが、先週に大きく上昇したことから利益確定売りが出て上値が伸び悩むとマイナスに転じました。後場に一時0.5%安余りまで下落する場面がみられたものの、引けにかけてやや持ち直し結局0.2%近い下落で取引を終えています。
<香港市場>
ハンセン指数は小幅に続伸しています。小幅に上昇して寄り付いたハンセン指数ですが、本土市場の伸び悩みや銀行株の下落が重石となり、しばらくしてマイナスに転じると一時0.5%安まで売られました。しかし、後場に入って持ち直すと前日終値近辺で揉み合う展開となっています。日本時間16時時点で不動産株指数が1%超上昇しているほか、公益事業株指数と商工業株指数も小幅に上げています。一方で金融株指数が下落となっています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
香港市場では、冴えない米雇用統計を受けて利上げが遅れるとの見方から利ザヤ改善による収益拡大といった期待が後退し金融株が軟調に推移しています。エイチエスビーシー (HSBC・00005)が2%近く下落しているほか、インダコマシャルバンク (中国工商銀行・01398)も下げています。また、ピンアンインシュランス (平安保険・02318)やチャイナライフイン (中国人寿保険・02628)も1%前後値下がりしています。さらに、投資判断の引き下げが嫌気されカジノのサンズチャイナ(金沙中国・01928)やギャラクシー・エンターテインメント(銀河娯楽・00027)が下げています。
一方で早期利上げ観測の後退を好感しハンルンプロパティー (恒隆不動産・00101)が1%超上昇しているほか、スワイヤパシエー (太古A・00019)も堅調となるなど香港系の不動産株が揃って買われています。また、金価格が大幅に上昇したこと受けて鉱業大手のジャオジン・マイニング(招金鉱業・1818)やズージン・マイニング・グループ(紫金鉱業・2899)も大きく上げています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川)