市況概況 - まとめ -

日本株式市場

1.概況
本日の日経平均は155円高の1万6830円と続伸しました。TOPIXやJPX日経400、新興市場のマザーズ指数など主要指数は総じて上昇しました。昨日の米国市場は高安まちまちで材料になりにくいなか、日経平均は47円高と小動きで寄り付きました。前場の日経平均は方向感に欠ける展開で前日終値を挟んでもみ合いが続きました。日経平均は10時半過ぎからやや下げ幅を広げると結局前場を55円安で引けました。お昼休み時間帯に発表された中国の5月の貿易統計で輸入が市場予想を上回ったことが好感され、後場寄りからわずかにプラスに転じた日経平均は徐々に上げ幅を拡大しました。100円高近辺でもみ合う時間が長かった日経平均ですが、引けにかけて一段高となり結局高値引けとなりました。東証1部の売買代金は1兆8207億円と本日も2兆円の節目を下回りました。東証33業種は空運や石油石炭製品など27業種が上昇しています。なお、寄り付き前に発表された1－3月期のGDP改定値は年率換算1.9％増と速報値の1.7％増から上方修正されましたが、市場予想と同水準でマーケットの反応は限定的でした。

2.個別銘柄等
売買代金上位銘柄は概ね上昇しました。東証1部の売買代金トップのトヨタ自動車（7203）が0.5％高となったほか、三菱UFJ（8306）が2％高、ソフトバンクグループ（9984）も1％高などとなりました。売買代金8位のパナソニック（6752）は3.7％の大幅高となりました。米電気自動車のテスラ（TSLA）のCEOが自社の電気自動車用の蓄電池にパナソニック製品のみを採用していると発信したことが材料視されました。その他材料が出たところでは、電子書籍などを展開するイーブックイニシアティブジャパン（3658）が9％安と急落しました。昨日発表した2－4月期の営業利益が赤字転落したことが嫌気されました。

【VIEW POINT: 明日への視点】
中国の経済指標が市場予想を上回ったことをきっかけに日経平均はプラスに転じました。ただ、明日以降はやや材料難と言った様相で、来週の連邦公開市場委員会（FOMC）や日銀の金融政策決定会合を控えて大きな方向感は出づらい状況が予想されます。

（マネックス証券　フィナンシャル・インテリジェンス部　益嶋 裕）

中国株式市場

上海市場と香港市場は小幅反落

上海総合指数：2,927.16（-8.89）
香港のハンセン指数（日本時間16時時点）：21,283.60（-44.64）

1.概況
＜中国本土市場＞
上海総合指数は小幅反落となりました。売りが先行し前場に一時0.9％超下落する場面もあった上海総合指数ですが、午前中に発表された貿易統計で5月の輸入が前年比0.4％減と市場予想の6.8％減から上振れたことが好感され、節目の2,900ポイントを前に下げ渋り切り返す展開となりました。しかし、端午節のため明日から12日までの連休を前に積極的な買いは限定的で、昨日終値近辺で上値を押さえられると結局0.3％安で取引を終えています。

＜香港市場＞
ハンセン指数は小幅に反落しています。前日に大きく上昇していたことに加え、明日の休場前ということもあり、ハンセン指数は下落して寄り付くと一時0.7％安まで売られました。しかし、中国の貿易統計で輸入が予想以上に改善したことを受けて徐々に買い戻されると下げ幅を縮める展開となりました。後場に入って一時プラスに転じる場面もみられたハンセン指数ですが、買いが続かず小安い水準での推移となっています。日本時間16時時点で公益事業株指数が1％近く上昇している一方、商工業株指数や不動産株指数、金融株指数は小幅に下落しています。

2.個別銘柄動向等（香港マーケット、日本時間16時時点まで）
香港市場では、前日まで10日続伸となっていた香港系の不動産のサンフンカイプロパティーズ (新鴻基不動産・00016)が利益確定売りに押され1％超下落しています。また、特段の材料はないものの、値嵩株でインターネット大手のテンセント (騰訊控股・00700）や通信大手のチャイナモバイル (中国移動・00941)が軟調に推移しています。

一方で、昨日にWTIの原油先物価格が50ドル台を回復したことが好感されシノック(中国海洋石油・00883）やペトロチャイナ (中国石油天然気・00857)が上昇しています。また、10日に発表される新たなスマホにAR（拡張現実）の技術が採用されると伝わったことからレノボグループ (聯想集団・00992)が2％以上値上がりしています。さらに50億元の社債を発行すると発表した電力のチャイナリソーシズ (華潤電力・00836）も買われています。

（マネックス証券　フィナンシャル・インテリジェンス部　林 宇川）