マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場はFOMCで利上げ見送りとなるなか引けにかけて下げに転じ5日続落 日本市場は昼ごろに発表となる日銀の金融政策決定会合の結果に注目
NYダウ: 17640.17 ▼34.65 (6/15)
NASDAQ: 4834.93 ▼8.62 (6/15)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場は5日続落となりました。上昇して始まったダウ平均は午後に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控え様子見となるなか、利上げを見送ったFOMCの結果を受けて一時90ドル高近くまで買われる場面もありましたが、積極的な買いは限定的で引けにかけて売りが優勢になると下落に転じました。結局ダウ平均は34ドル安の17,640ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も8ポイント安の4,834ポイントとなりました。
2.経済指標等
米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り利上げを見送りました。参加者の政策金利の見通しは、2017年末と2018年末の見通しが引き下げられましたが、2016年末の見通しについては前回の0.875%が据え置かれました。しかし、年内1回の利上げとみる参加者が3月の1人から6人に増えています。また、イエレンFRB議長は会見で7月の利上げは不可能ではないとしたものの、明確な利上げ時期を特定することはありませんでした。6月の米ニューヨーク連銀景気指数は6.01となりマイナスを見込んでいた市場予想を上回りました。5月の米卸売物価指数は前月比0.4%上昇し市場予想を上回りました。変動の激しいエネルギーと食品を除いたコア指数も0.3%上昇しこちらも市場予想を上回っています。5月の米鉱工業生産は前月から0.4%低下の103.6となり市場予想を下回りました。5月の米設備稼働率は74.9%と前月より0.4ポイント低下しています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全10業種のうち公益事業やヘルスケア、エネルギーなどの6業種が下落しました。一方で素材や一般消費財・サービスなどの4業種が上昇しています。
4.個別銘柄動向
米食品医薬品局(FDA)から食品の製造過程に違反があったとの指摘を受けた高級スーパーのホールフーズ・マーケット(WFM)が大幅安となり、証券会社が買い推奨リストから外したシスコシステムズ(CSCO)も売られました。自社株買いを発表したバイオ製薬のセルジーン(CELG)は買いが先行しましたが、買いが続かず下げています。一方で独ベルリンに拠点を置く音楽配信サービスのサウンドクラウドの株式取得が伝わったツイッター(TWTR)が大幅高となったほか、同業から買収提案を受けた保険会社向けに外部委託でサービスなどを提供するパトリオット・ナショナル(PN)が急伸しています。
5.為替・金利等
長期金利はFOMCの結果を受けてFRBによる利上げのペースが緩やかなものになるとの見方から0.04%低い1.57%となりました。ドル円はFOMCの結果を受けて一時105円40銭台まで円高が進む場面がありましたが、その後円売り・ドル買いが優勢となり105円台後半での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
本日の日本市場は昼ごろに日銀の金融政策決定会合の結果発表を控え様子見となりやすいなか、ドル円が105円台後半での推移となっていることもあって軟調なスタートが予想されます。日銀の金融政策決定会合では追加金融緩和なしとの見方が多いものの、一部には緩和期待もあることから、結果が現状維持となった場合には仕掛け的な売りが出る可能性もありそうで、結果を受けてのマーケットの反応が注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)