マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
日銀の追加緩和見送りを受け日経平均485円の大幅安
日本株式市場
1.概況
本日の日経平均は485円安の1万5434円と大幅に反落し、2月12日以来約4ヶ月ぶりの安値をつけました。TOPIXやJPX日経400も大幅安となったほか、新興市場のマザーズ指数は7%超下落しています。昨日の米国市場でダウ平均が5日続落し、ドル円も105円台後半まで円高に振れたことを受け日経平均は48円安で寄り付きました。本日の日経平均は寄り付き後に6円安まで下げ幅を縮めた後は、1日を通して下げ幅を広げる展開でした。前場を174円安で終えた日経平均は、お昼休みの時間帯に日銀が金融政策の現状維持を発表するとドル円が104円台まで円高に振れ、日経平均先物は下げ幅を大きく拡大しました。日経平均も後場寄りから大幅に下げ幅を拡大するとその後もほとんど反発することなく推移し、一時は下げ幅が500円を超える場面もありました。日経平均は引けにかけてやや値を戻したものの、結局1日の安値圏で取引を終えました。東証1部の値上がり銘柄数はわずか57と全体の96%が下落する全面安の商状でした。東証33業種は全業種が下落しました。中でも追加緩和見送りへの失望からか不動産業が唯一4%を超える下落となりました。
2.個別銘柄等
売買代金上位の主力銘柄も全面安となりました。東証1部の売買代金トップのトヨタ自動車(7203)から売買代金68位の住友電気工業(5802)まですべて下落しました。円高進行が嫌気されトヨタ自動車は3.3%安と大きく売られたほか、ソニー(6758)、ファーストリテイリング(9983)、東芝(6502)、日産自動車(7201)がいずれも3%を超えるきつい下げとなりました。一方、日銀がマイナス金利幅の拡大を行わなかったことからか、メガバンク3行は下落したもののいずれも1%台の下落と比較的小幅な下げとなりました。材料が出たところでは、セルフ式うどん店舗の丸亀製麺を展開するトリドール(3397)が8%近く下落しました。一部店舗で食中毒が発生した疑いが出ていることで売られたようです。
【VIEW POINT: 明日への視点】
日銀の緩和見送りは予想されていたものの、英国の国民投票を前に市場がリスクオフに傾いていることもあってか現状維持発表後に下げが大きく加速しました。本日の大幅下落で日経平均の予想PERは12倍台まで低下しているとみられることに加え、東証1部の騰落レシオは81%と一般的に売られすぎと言われる水準まで下落しています。これらの指標から見れば日本株は割安と考えることもできそうですが、来週23日の英国の国民投票を控えていることからそれまでは本格的な買いは入りづらいとみられます。また、本日の大引け後にドル円は一時103円台まで円高が進行しており、引き続き為替動向を睨みながらの展開となりそうです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
上海市場は反落 香港市場は大幅反落
上海総合指数:2,872.82(-14.39)
香港のハンセン指数(日本時間16時時点):20,003.91(-463.61)
1.概況
<中国本土市場>
上海総合指数は反落となりました。5月の金融統計でマネーサプライM2の伸びと社会融資総量が市場予想を下回ったことが嫌気され上海総合指数は下落して寄り付くとしばらくして0.6%安まで売られました。しかし、その後持ち直し前場は僅かなプラスで引けましたが、昨日終値近辺で上値を押さえられると午後には再び売りが優勢となりました。結局、上海総合指数は0.5%安で取引を終えています。
<香港市場>
ハンセン指数は大幅反落となっています。昨日のFOMC後の会見でイエレンFRB議長が英国のEU離脱リスクが政策決定に影響したと発言したことで、改めて英国のEU離脱が警戒されたほか、米国株安と原油価格の下落なども嫌気されハンセン指数は下落して寄り付きました。その後、徐々に下げ幅を広げたハンセン指数は一時節目の2万ポイントを割り込むなど安値圏での推移となっています。日本時間16時時点で4業種全てが下げ、金融株指数、商工業株指数、不動産株指数、公益事業株指数は揃って2%を超える下落となっています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
香港市場はほぼ全面安となっています。英国のEU離脱が警戒されリスクオフムードが強まるなかインターネット大手のテンセント (騰訊控股・00700)が2%超下落しているほか、パソコン大手のレノボグループ (聯想集団・00992)も4%近く下げています。また、銀行のインダコマシャルバンク (中国工商銀行・01398)やコンストラクションバンク (中国建設銀行・00939)などに加え、保険のピンアンインシュアランス (平安保険・02318)やチャイナライフインシュアランス(中国人寿保険・02628)など、金融株が軒並み軟調となっています。
一方で、広東省政府系国有企業の資本参加を見込んだ買いでドンジャンエンバイロ (東江環保・00895)が大幅に上昇しています。さらに仏化粧品のロクシタンインター (L'Occitane・00973)は販売の主力が日本であるため円高による業績の上振れ期待から2%以上上昇しています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川)