マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場は米雇用統計の改善を好感し大幅高 日本市場は米国株高で反発か
NYダウ: 18146.74 △250.86 (7/8)
NASDAQ: 4956.76 △79.95 (7/8)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
先週末の米国市場は大きく改善した米雇用統計を好感し大幅高となりました。取引開始直後から大きく上昇したダウ平均はその後もじりじりと上げ幅を広げると取引終盤には270ドル高まで買われました。引けにかけてやや上げ幅を縮めたダウ平均ですが結局250ドル高の18,146ドルと反発し終値ベースで10営業日ぶりに節目の18,000ドルを回復し、英国がEU離脱を決定する前の水準を上回って年初来高値を更新して取引を終えています。また、S&P500株価指数も32ポイント高の2,129ポイントと反発し、昨年5月21日につけた最高値2,130ポイントにあと一歩に迫りこちらも年初来高値を付けています。さらにハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は79ポイント高の4,956ポイントと3日続伸となりました。
2.経済指標等
6月の米雇用統計で非農業部門就業者数は前月から28万7千人増となり市場予想を大きく上回りました。また、4月が12万3千人から14万4千人に上方修正された一方、5月は3万8千人増から1万1千人増に引き下げられました。失業率は労働参加率が0.1ポイント上昇したこともあって0.2ポイント上昇し4.9%となりました。さらに平均時給は前年同月比2.6%増となったものの市場予想を下回っています。5月の米消費者信用残高は前月比185億5838億ドル増の3兆6236億9830万ドルと市場予想を上回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は10業種全てが上げました。なかでも素材が2%を超える上昇となったほか、資本財・サービスと金融も2%近く上げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄全てが上げました。なかでもキャタピラー(CAT)が3%高となったほか、デュポン(DD)とアメリカン・エキスプレス(AXP)も3%近く上げています。また、インテル(INTC)も投資判断の引き上げを受けて2%を超える上昇となっています。ダウ平均構成銘柄以外では6月の世界の既存店売上高が前年同月比で増加したカジュアル衣料のギャップ(GPS)が大幅高となっています。一方でがん免疫療法に特化したバイオ製薬のジュノ・セラピューティクス(JUNO)は米食品医薬品局(FDA)が開発中のがん治療薬の臨床試験を中止させたことを受けて目標株価が引き下げられたことから急落しています。
5.為替・金利等
米雇用統計の改善を受けて米国債は売りが先行したものの、次第に買いが優勢となり長期金利は前日比0.02%低い1.36%となりました。ドル円は米雇用統計の改善を受けて一時101円台前半まで円安が進む場面もありましたが、その後は米長期金利の低下を受けて円高に振れ一時100円を割り込む場面もありました。朝方は100円台後半での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
米国株高を受けて本日の日本市場は反発してのスタートが予想されます。ドル円が引き続き100円台で推移し円高への警戒感が強いなか日経平均がどこまで上値を伸ばせるかがポイントとなりそうで、先週末に上値を押さえられた一目均衡表の転換線(8日時点で15,396円)を試すような展開となるかが注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)