マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
週明けの米国市場は上昇 ダウ平均は5日連続で史上最高値を更新 日本市場は米国株高と円安で続伸か
NYダウ: 18533.05 △16.50 (7/18)
NASDAQ: 5055.78 △26.20 (7/18)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
先週末の米国市場は小売売上高や鉱工業生産など良好な経済指標を好感する買いがみられた一方で、高値圏にあることから利益確定の売りも出やすく小幅に高安まちまちとなりました。上昇して始まったダウ平均は取引開始直後に50ドル高余りまで買われましたが、上値が伸び悩むなか発表されたミシガン大学米消費者態度指数が冴えなかったこともあってマイナスに転じると昼過ぎには30ドル安余りまで売られました。しかし、底堅さを確認すると切り返し再びプラスに転じ結局10ドル高の18,516ドルと6日続伸となり、4日連続で史上最高値を更新して取引を終えています。一方でS&P500株価指数が2ポイント安の2,161ポイントと6日ぶりの反落となったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も4ポイント安の5,029ポイントと反落となっています。
週明けの米国市場は今週から本格化する決算への期待や、ソフトバンクグループ(9984)による大型買収が好感され上昇しました。連日で高値を更新していることもあって上値が伸び悩むと小幅なマイナスとなる場面もあったダウ平均ですが、下値は限定的で結局16ドル高の18,533ドルと7日続伸となり、5日連続で史上最高値を更新して取引を終えています。また、S&P500株価指数も5ポイント高の2,166ポイントと反発し史上最高値を更新しています。さらにナスダック総合株価指数も26ポイント高の5,055ポイントと反発し年初来高値を付けています。
2.経済指標等
先週末に発表された6月の米小売売上高は前月比0.6%増と3カ月連続のプラスとなり市場予想を上回りました。6月の米鉱工業生産は前月比0.6%上昇し市場予想を上回り、米設備稼働率も75.4%と前月から0.5ポイント上昇し市場予想を上回っています。5月の米企業在庫も前月比0.2%増と市場予想を上回っています。一方で7月のニューヨーク連銀製造業景況指数が0.55となり市場予想を下回ったほか、7月のミシガン大学米消費者態度指数速報値も前月から4ポイント低下の89.5となり市場予想を下回りました。6月の米消費者物価指数(CPI)は変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数が前年同月比2.3%上昇し市場予想を上回りました。
週明けに発表された7月の全米住宅建設業協会(NAHB)住宅市場指数は59と前月の60から低下し市場予想を下回りました。
3.業種別動向
先週末の米国市場で業種別S&P500株価指数は全10業種のうち素材や公益事業など4業種が上げました。一方で一般消費財・サービスや金融、情報技術など6業種が下げています。
週明けの米国市場では業種別S&P500株価指数は全10業種のうち情報技術や素材、金融などの5業種が上げました。一方で生活必需品や資本財・サービス、エネルギーなどの5業種が下げています。
4.個別銘柄動向
先週末の米国市場では、販売方法を巡る不正疑惑で米連邦取引委員会と和解したと発表した健康食品のハーバライフ(HLF)が急伸したほか、四半期決算が増収増益で1株利益が市場予想を上回った米地銀大手のUSバンコープ(USB)が買われました。一方で決算が増収減益だった米銀大手のウェルズ・ファーゴ(WFC)が安く、決算が減収減益だったシティグループ(C)も下げています。
週明けの米国市場では、ソフトバンクグループ傘下の米携帯電話大手のスプリント(S)が5%安と大幅下落となりました。ソフトバンクグループが半導体設計大手の英アーム・ホールディングス(ARM)を3兆3000億円程度で買収すると発表したことでスプリントの再建が後回しにされる可能性を警戒した売りが膨らみました。また、玩具大手のハスブロ(HAS)は市場予想を上回る決算を発表したものの、材料出尽くしで売られています。一方でソフトバンクグループが買収を発表したアーム・ホールディングスが買収価格にさや寄せする格好で急伸し、業界再編への思惑から半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やクアルコム(QCOM)などが買われました。そのほか決算が市場予想ほど落ち込まなかったバンク・オブ・アメリカ(BAC)が大幅高となっています。
5.為替・金利等
先週末の長期金利は良好な経済指標を受けて0.02%高い1.55%となりました。週明けの長期金利は前週末にトルコでのクーデターを受けて高まった地政学リスクがいったん和らいで米国債は売りが優勢となり0.03%高い1.58%となりました。先週末のニューヨーク時間でドル円はトルコでクーデターがあったと伝わると投資家のリスク回避姿勢が強まり、円買いが加速し104円台後半まで円高が進みました。その後クーデターが失敗に終わったことでリスク回避姿勢が和らぎ円安に振れました。朝方は106円台前半での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
米国市場でダウ平均が連日で史上最高値を更新していることや、ドル円も円安となっていることから本日の日本市場は続伸でのスタートが予想されます。こうしたなか先週末までの5日続伸で1,400円近く上昇し、利益確定の売りが出やすい日経平均がねじれの発生する一目均衡表の雲(16,608円)を抜けてくるような展開となるかがポイントとなりそうです。また、大型買収を発表したソフトバンクグループの株価動向も注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)