マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
大規模な景気対策報道や日銀の追加金融緩和期待などから日経平均大幅反発 今夜は米国のFOMCに注目
日本株式市場
1.概況
本日の日経平均は、281円高と大幅に反発しました。TOPIXやJPX日経400、新興市場のマザーズ指数など主要指数は総じて上昇しました。昨日の米国市場は高安まちまちでしたが、ややドル円が円安に振れたこと、また本日の日経新聞朝刊で日銀が追加金融緩和を検討していると報じられたことが好感され日経平均は143円高の1万6526円と反発して寄り付きました。日経平均は一時260円高近くまで上げ幅を広げると、前場を227円高とその時点の高値圏で終えました。お昼休みの時間帯に一部メディアで「政府の景気対策が27兆円規模になりそうだ」と報じられたこと、また別のメディアが「日本政府が50年債の発行を検討している」と報じたことが好感され、105円台前半で推移していたドル円が一時106円台半ばまで急速に円安が進み、日経平均先物は急騰しました。後場の日経平均は411円高と大きく上げ幅を広げて寄り付くと、まもなく438円高と本日の高値をつけました。ただ、その後財務省理財局が「50年債の発行を検討している事実はない」と否定したと報じられるとドル円が105円台まで円高に戻し、日経平均も上げ幅を縮めました。一時は前引けの水準まで上げ幅を縮める場面もあった日経平均ですが、大引けにかけて再びやや上げ幅を広げ結局281円高で大引けをむかえました。東証1部の売買代金は2兆5343億円と引き続き2兆円を上回る高水準でした。東証33業種は化学や輸送用機器、非鉄金属など26業種が上昇しました。一方でその他製品、卸売業など7業種が下げています。
2.個別銘柄等
任天堂(7974)は東証1部の売買代金トップの商いを集めましたが、5%超下落しました。その他の売買代金上位銘柄は概ね上昇しましたが、売買代金3位に入った伊藤忠(8001)は6.3%安と大きく下げました。米投資会社のグラウカス・リサーチがレポートで伊藤忠がコロンビアの炭鉱事業の減損処理を回避していることを理由に同社の株を強い売り推奨としたことが嫌気されました。また、グラウカスは伊藤忠株を空売りしていることを表明しています。それに対して伊藤忠は適正な会計処理を実施しており、監査法人による適正な監査を受けていると取引時間中に表明しました。一方、売買代金6位に入った信越化学(4063)は15%近く急騰しました。昨日の引け後に発表した4-6月期決算で、営業利益が前年同期比16.8%増と市場予想を上回る堅調な内容だったことが好感されました。一方、エムスリー(2413)が8%超下落しました。4-6月期の営業利益は前年同期比24%増益と好調だったものの、好業績は既に株価に織り込まれているとして外資系証券が投資判断を引き下げたことが嫌気されたようです。
【VIEW POINT: 明日への視点】
政府の大型景気対策や日銀の追加金融緩和への期待から日経平均は大幅高となりました。今夜の米国市場では連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表が行われます。今回の会合で利上げが決定される可能性は極めて低いとみられていますが、声明文で労働市場に対してどのような認識が示されるかなどが注目点と言えそうです。また、本日の大引け後にファナック(6954)が決算発表を行いました。営業利益は前年同期比43.3%減と大幅に減少しましたが、市場コンセンサスを上回っているとともに今期の業績予想を上方修正しました。明日のマーケットの反応が注目されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
上海市場と香港市場ともに反落
上海総合指数:2,992.00(-58.17)
香港のハンセン指数(日本時間16時時点):22,102.78(-26.95)
1.概況
<中国本土市場>
上海総合指数は大幅に反落し節目の3,000ポイントを割り込みました。朝方発表の6月の工業企業利益が前年同月比5.1%増と前月から増加率が拡大したことから買いが先行した上海総合指数ですが、中国証券監督管理委員会が国内の証券会社が手掛ける理財商品(個人向け資産運用商品)などリスクの高い金融商品の監督・管理を強化する方針と伝わったことが嫌気されたほか、創業板指数の急落も投資家心理を悪化させ、買いが失速しマイナスに転じると下げ幅を急速に広げる展開となりました。後場に一段安となり節目の3,000ポイントを割り込んで一時3.6%安まで売られる場面もみられた上海総合指数は、その後やや買い戻されたものの結局3,000ポイントを回復できず1.9%安で取引を終えています。
<香港市場>
ハンセン指数は小幅に反落しています。ハンセン指数は上昇して寄り付くと一時0.7%高近くまで買われましたが、本土市場の急落が重石となり、下落に転じると一時節目の22,000ポイントを割り込む場面もありました。後場にやや持ち直し22,000ポイントを回復したものの、引き続き小幅安での揉み合いが続いています。日本時間16時時点で商工業株指数を除く3業種が下落しています。なかでも公益事業株指数が1%超下げているほか、不動産株指数も1%近い下落となっています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
香港市場では、日本企業向けに中国人の訪日客を囲い込むための広告サービスを提供すると発表したインターネットサービスのテンセント (騰訊控股・00700)は小幅ながら上昇しています。また、一般向けのカジノ収入が6月に前年同月比でプラスに転じたことなどが引き続き好感されカジノのサンズチャイナ(金沙中国・01928)が続伸しています。さらに、保険のピンアンインシュアランス (平安保険・02318)やチャイナライフインシュアランス(中国人寿保険・02628)などが堅調推移となっています。
一方で、鴻海傘下の携帯電話機メーカーのFIHモバイル (富智康・02038)はアップル(AAPL)の4-6月期決算で多機能携帯端末(タブレット)などの廉価版の販売が予想よりも堅調だったことから買いが先行しましたが、下落に転じ1%安余りまで下げていいます。また、今夜の米FOMC政策発表を見極めたいとの思惑もあってかシノランド (信和置業・00083)やニューワールド・デベロップ(新世界発展・00017)などの香港系の不動産株が売られています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川)