マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
昨日の米国市場は3指数が揃って史上最高値を更新 日本市場は米国株高と円安で反発か
NYダウ: 18613.52 △117.86 (8/11)
NASDAQ: 5228.40 △23.81 (8/11)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
10日の米国市場は原油安が重石となり反落となりました。朝方は30ドル高近くまで買われる場面もあったダウ平均ですが上値が伸び悩むとマイナスに転じ午後に一時は60ドル安余りまで下落しました。引けにかけてやや持ち直したダウ平均ですが結局37ドル安の18,495ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も20ポイント安の5,204ポイントとなりました。
昨日の米国市場は大手百貨店の市場予想を上回る決算や原油価格の上昇を好感して反発し、3指数が揃って史上最高値を更新しました。午前中に大きく上げ幅を広げたダウ平均は午後に入りやや上値が重くなったものの、堅調に推移すると一時は140ドル高余りまで買われる場面もみられました。引けにかけてやや上げ幅を縮めたダウ平均ですが結局117ドル高の18,613ドルと7月20日に付けた史上最高値をほぼ3週間ぶりに更新して取引を終えています。また、S&P500株価指数が10ポイント高の2,185ポイントとなり4営業日ぶりに史上最高値を更新したほか、ナスダック総合株価指数も23ポイント高の5,228ポイントとなり、こちらも2営業日ぶりに史上最高値を付けています。
2.経済指標等
10日に発表となった7月の米財政収支は前年比24.4%減の1128億1500万ドルとなりました。昨日発表となった先週一週間の新規失業保険申請件数は前週比1千人減の26万6千人と3週ぶりの減少となったものの、市場予想ほどは改善しませんでした。7月の輸入物価指数は前月比0.1%上昇し5カ月連続でプラスとなり低下を見込んでいた市場予想を上回りました。輸出物価も前月比0.2%上昇し市場予想を上回っています。
3.業種別動向
10日の米国市場で業種別S&P500株価指数は全10業種のうちエネルギーや金融、ヘルスケアなど6業種が下げ、エネルギーは1%を超える下落となっています。一方で生活必需品や電気通信サービスなどの4業種が上げています。
昨日の米国市場で業種別S&P500株価指数は全10業種のうちエネルギーや一般消費財・サービス、資本財・サービス、ヘルスケアなど9業種が上げ、エネルギーと一般消費財・サービスは1%を超える上昇となりました。一方で生活必需品が小幅に下げています。
4.個別銘柄動向
10日の米国市場では7-9月期の業績見通しが市場予想に届かなかった高級服飾ブランドのマイケル・コース(KORS)が安く、業績見通しを下方修正した格安航空会社のサウスウエスト航空(LUV)や四半期決算が減収減益だったハンバーガーチェーンのウェンディーズ(WEN)も下げています。また、原油価格の下落を受けてエクソンモービル(XOM)とシェブロン(CVX)も売られました。一方で赤字転落となったものの1株利益が市場予想を上回った衣料品大手のラルフローレン(RL)が急伸したほか、同じく決算が市場予想を上回ったウォルト・ディズニー(DIS)が堅調でした。
昨日の米国市場では百貨店大手のメーシーズ(M)が17%高と急伸しました。決算が市場予想を上回ったことや不採算店舗の閉鎖方針が好感されました。また、百貨店大手のコールズ(KSS)も決算で売上高が市場予想ほど減らなかったことで16%を超える大幅高となったほか、決算が大幅増収となった中国のアリババ集団(BABA)も大きく上げています。さらに原油価格の上昇を受けてエクソンモービル(XOM)とシェブロン(CVX)が反発しています。一方で保険会社への詐欺行為の疑いで米当局が調査していると伝わった製薬のバリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナル(VRX)が10%安と急落しています。
5.為替・金利等
10日の長期金利は0.04%低い1.50%となりました。昨日の長期金利は株高や原油高を受けて安全資産の米国債が売られ0.06%高い1.56%となりました。ドル円も昨日の米国株高や原油高を受けて円安に振れ101円台後半での推移となっています
【VIEW POINT: 今日の視点】
米国市場で3指数が揃って史上最高値を更新したことや、ドル円が円安に振れていることから本日の日本市場は反発でのスタートが予想されます。例年より一足早いお盆休みシーズン入りとなり市場参加者が減るとみられるなかで、日経平均が上値を伸ばし7月21日のザラ場の高値(16,938円)を試すような展開となるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)