市況概況 - まとめ -

日本株式市場

1.概況
本日の日本市場は円安基調を好感し小幅に続伸となりました。日経平均は2円安の16,885円とほぼ横ばいでスタートすると、前場は前日の終値を挟んで小幅な値幅で揉み合い方向感に欠ける展開となりましたが、徐々に上昇する時間帯が目立つようになると後場は小幅高ながら終始プラス圏で推移しました。日経平均の下値は20円余りの下落に止まり、反対に上値は7月と8月に付けた高値水準で押さえられ50円余りの上昇に止まりました。結局、日経平均は39円高の16,926円で取引を終えています。一日の値幅が76円と小幅になるなか昨日に2兆円を回復した東証1部の売買代金は1兆9541億円と再び2兆円を割り込みました。また、新興市場では東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が4日続伸となっています。

2.個別銘柄等
東証1部の売買代金上位銘柄は総じてしっかりでした。上位10銘柄はファーストリテイリング（9983）を除く9銘柄が上昇し、売買代金トップの任天堂（7974）が3.3％上昇し大幅高となったほか、2位の三菱UFJフィナンシャルグループ（8306）が1.8％高、3位のトヨタ（7203）が0.7％高となっています。材料が出たところでは投資判断と目標株価の引き上げを受けてクラリオン（6796）とパイオニア（6773）が大きく上昇し、クラリオンは10％近く上げ東証1部で上昇率3位となっています。2017年2月期の業績予想を上方修正した西松屋チェーン（7545）や、同じく2016年7月期の業績予想を上方修正した鳥貴族（3193）も買われ、鳥貴族は一時10％高と急伸する場面もありました。一方で投資判断と目標株価の引き下げを嫌気してマキタ（6586）やDMG森精機（6141）が大幅安となっています。新興市場では住友化学（4005）を引受先とする第三者割当増資を実施し、住友化学の子会社になると発表した田中化学研究所（4080）が競争力強化による収益改善期待から買いを集めストップ高となっています。

【VIEW POINT: 明日への視点】
本日の日経平均は7月と8月に上値を押さえられた16,940円どころの高値を試す場面もみられましたが、さすがに明日の晩に米雇用統計の発表を控えその水準を抜け切れませんでした。明日は様子見となりやすく動きづらい一日となりそうですが、上昇する場面では引き続き7月と8月の高値を上回れるかがポイントとなりそうです。

（マネックス証券　シニア・マーケットアナリスト　金山 敏之）

中国株式市場

上海市場は反落　香港市場は反発

上海総合指数：3,063.31（-22.19）
香港のハンセン指数（日本時間16時時点）：23,112.63（+135.75）

1.概況
＜中国本土市場＞
上海総合指数は反落となりました。8月の中国製造業購買担当者景気指数（PMI）が50.4と前月から改善し市場予想を上回ったことから朝方に一時プラスに転じる場面がみられた上海総合指数ですが、中国主要都市で新たな不動産価格規制策が相次いで打ち出されていると伝わり不動産株が大きく売られたことなどで買いが続きませんでした。軟調な展開が続いた上海総合指数は引けにかけて下げ幅を広げ、結局0.7％安とほぼ安値引けで取引を終えています。

＜香港市場＞
ハンセン指数は反発しています。昨日の米国株安を受けて下落して寄り付いたハンセン指数ですが、8月の中国の製造業PMIが改善したことや財新製造業PMIも50を維持したことから景気減速懸念が後退し下げ渋ると切り返す展開となりました。プラスに転じ節目の23,000ポイントを回復したハンセン指数は一時0.9％高近くまで買われると、その後も高値圏で推移しています。日本時間16時時点で金融株指数が1％超上昇しているほか、商工業株指数と公益事業株指数、不動産株指数も上げています。

2.個別銘柄動向等（香港マーケット、日本時間16時時点まで）
香港市場では、港湾事業を手掛けるチャイナマーポート(招商局港口・00144)が下期の業績回復見通しを発表したことで2％以上上げています。昨日、大株主に向けた第三者割当増資を発表したチャイナシティレール (中国城市軌道交通科技・01522)も資本増強を好感し9％近く上昇しています。

一方で、原油安を受けてシノック(中国海洋石油・00883）やクンルンエネルギー (昆侖能源・00135）などのエネルギー株が軟調となっています。特段の材料はないものの中国複合企業最大手のシティック (中信股フェン・00267)も売られています。

（マネックス証券　フィナンシャル・インテリジェンス部　林 宇川）