マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
先週末の米国市場は9月の利上げ観測が後退し上昇 日経平均は節目の17,000円を回復か
NYダウ: 18491.96 △72.66 (9/2)
NASDAQ: 5249.90 △22.69 (9/2)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
先週末の米国市場は米雇用統計で非農業部門の雇用者数が市場予想を下回り15万1000人増に止まったことから9月の利上げ観測が後退し上昇しました。取引開始後しばらくして125ドル高まで買われたダウ平均は、その後徐々に上げ幅を縮めると結局72ドル高の18,491ドルと続伸して取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も22ポイント高の5,249ポイントと続伸となっています。
2.経済指標等
8月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月から15万1000人増となり市場予想を下回りました。また、7月が25万5000人から27万5000人に上方修正される一方で、6月は29万2000人から27万1000人へと下方修正されています。失業率は前月比横ばいの4.9%で、平均時給は前年比2.4%上昇となったものの、前月から伸びが鈍化し市場予想を下回りました。7月の米貿易収支で貿易赤字は394.7億ドルとなり市場予想を下回っています。7月の米製造業受注も前月比1.9%増となったものの、市場予想を下回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は10業種全てが上げました。なかでも公益事業が1%を超える上昇となり、エネルギーと素材も1%近く上げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄はナイキ(NKE)とウォルマート・ストアーズ(WMT)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)を除く27銘柄が上げ、ボーイング(BA)やアップル(AAPL)、ビザ(V)が1%近く上げています。ダウ平均構成銘柄以外では分離する中国事業の株式の一部を投資会社などに4億6000万ドルで売却すると発表したケンタッキー・フライド・チキンなどを運営する外食のヤム・ブランズ(YUM)が堅調でした。一方、決算で売上高が市場予想を下回り、通期の販売見通しも慎重と受け止められたスポーツ衣料のルルレモン・アスレティカ(LULU)が10%安と急落したほか、8月の既存店売上高が市場の予想を下回ったギャップ(GPS)も下げています。
5.為替・金利等
長期金利は株式市場の上昇を受けて安全資産の米国債が売られ0.03%高い1.60%となりました。ドル円は米雇用統計で雇用者数が市場予想を下回ったものの、雇用の改善基調が続いているとして年内の米利上げが意識され円安が進みました。一時104円30銭台まで円安に振れましたが、朝方は104円近辺での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
本日の日本市場は円安を好感して上昇してのスタートが予想されます。日経平均は節目の17,000円を回復し、200日移動平均線(先週末時点で17,047円)を今年に入って初めて上回りそうです。こうしたなか本日は11時30分に黒田日銀総裁の講演が予定されており、総裁の発言を受けてマーケットに動きがみられるかが注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)