マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
日経平均111円高と反発し約3ヶ月ぶりに1万7000円の節目を回復 今後しばらくは日米の金融政策に注目が集まる展開に
日本株式市場
1.概況
本日の日経平均は111円高の1万7037円と反発し、5月31日以来約3ヶ月ぶりに終値で1万7000円の節目を回復しました。TOPIXやJPX日経400、新興市場のマザーズ指数など主要指数は総じて上昇しました。先週末の米国市場で主要指数が上昇し、ドル円が104円ちょうど程度まで円安に振れたことを受け日経平均は205円高の1万7131円と大きく反発して寄り付きました。日経平均は寄り付き後にやや上げ幅を縮めましたがその後持ち直すと再び上げ幅を広げ、前場を214円高とその時点の高値圏で終えました。お昼休みの時間帯に黒田日銀総裁が行った講演の中で、9月の金融政策決定会合は緩和縮小という議論ではないと述べた一方で金融機関等の収益に及ぼす悪影響にも配慮する姿勢を示されたことなどからドル円がやや円高に振れると、日経平均は後場寄りから上げ幅を縮小しました。その後もドル円が103円台前半まで円高に振れると日経平均は一時1万7009円と1万7000円の節目を割り込みそうな水準まで上げ幅を縮める場面がありました。日経平均は引けにかけてやや持ち直したものの、結局1日の安値圏で取引を終えています。東証1部の売買代金は1兆7400億円と2兆円を割り込む低水準でした。東証33業種は6%近い大幅上昇となった海運業を筆頭に電気・ガス業や鉱業など25業種が上昇しました。一方で証券商品先物やその他製品など8業種が下げています。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金上位銘柄は高安まちまちでした。売買代金トップに入った任天堂(7974)や2位の三菱UFJ(8306)、3位の三井住友(8316)、4位のトヨタ自動車(7203)はそれぞれ下落しました。一方でソフトバンクグループ(9984)、みずほ(8411)、ファーストリテイリング(9983)、ソニー(6758)、TDK(6762)などはそれぞれ上昇しました。中でもファーストリテイリングは先週末の大引け後に発表された国内ユニクロの既存店売上高は前年同月比1%減と冴えませんでしたが、台風などの天候要因が大きく衣料店の中では業績が堅調に推移しているとの見方から4%近い大幅高となりました。その他材料が出たところでは、出版事業や動画投稿サイトの運営などを行うカドカワ(9468)が6%超の大幅高となりました。中国企業との合弁会社に中国のインターネットサービス大手のテンセントが資本参加することが判明し今後の業績拡大期待から買われました。
【VIEW POINT: 明日への視点】
日経平均は円安を好感して1万7000円の節目を回復し、今年に入って初めて200日移動平均線を上回りました。本日は黒田日銀総裁の講演を材料に為替レートが動いたように、今後も9月20日・21日に行われる日銀の金融政策決定会合および米連邦公開市場委員会(FOMC)での金融政策の決定内容に注目が集まる展開が続きそうです。なお、今夜の米国市場はレイバーデーの祝日のため休場です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
上海市場はほぼ横ばい 香港市場は大幅続伸
上海総合指数:3,072.10(+4.74)
香港のハンセン指数(日本時間16時時点):23,649.90(+383.20)
1.概況
<中国本土市場>
上海総合指数は小幅に続伸となりました。習近平国家主席がG20首脳会議の講演で鉄鋼の過剰生産解消などを推進していくことを強調したことから改革進展への期待が高まり上海総合指数は前場に一時0.6%高近くまで買われました。しかし、その後徐々に上げ幅を縮めると結局ほぼ横ばいで取引を終えています。
<香港市場>
ハンセン指数は大幅続伸となっています。8月の米雇用統計が市場予想に届かなかったことで米利上げ観測が後退し先週末の米国株が上げたことなどを受けて大きく上昇して寄り付いたハンセン指数は、8月の財新中国サービス業PMIが改善したことも追い風となり上げ幅を広げると、その後も高値圏で堅調に推移しています。日本時間16時時点で4業種全てが上げ、不動産株指数が2%超上昇しているほか、商工業株指数と金融株指数も1%を超える上げとなっています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
香港市場はほぼ全面高となっています。米利上げ観測が後退したことから香港の不動産株が堅調に推移しています。サンフンカイプロパティーズ (新鴻基不動産・00016)が4%近く上昇しハンセン指数構成銘柄で上昇率トップとなっているほか、ニューワールド・デベロップメント(新世界発展・00017)やCKプロパティ (長江地産・01113)なども買われています。また、インターネットサービスのテンセント (騰訊控股・00700)とエイチエスビーシー (HSBC・00005)もしっかりで、この2銘柄でハンセン指数を130ポイント以上押し上げています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川)