市況概況 - まとめ -

マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)

  • 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
  • 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況

執筆者:マネックス証券 プロダクト部

日銀が「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を発表し日経平均は315円の大幅高 今夜はFOMCの政策決定に注目

日本株式市場

1.概況
本日の日経平均は315円高の1万6807円と大幅に反発しました。昨日の米国市場がほぼ横ばいで日銀の金融政策決定会合の結果発表を控えるなか、日経平均は20円安と小幅安で寄り付きました。前場の日経平均は、日銀の緩和見送りへの警戒からかジリジリと円高が進むと徐々に下げ幅を拡大し、一時は90円安余り下げる時間帯がありました。後場に入っても日銀の政策発表が行われなかったため、緩和発表への期待が高まる格好で日経平均はプラスに転じるとしばらくは小幅高で推移しました。13時15分過ぎに日銀が「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を発表すると、予想されていたマイナス金利の深掘りが実施されなかったことなどから一時101円ちょうど近くまで円高に振れましたが、物価上昇率が安定的に2%を超えるまで金融緩和を続ける「オーバーシュート型コミットメント」や長短金利をコントロールすることを目指す「イールドカーブコントロール」の導入などを好感し、ドル円は急速に円安に振れました。発表直後にマイナス圏に沈んだ日経平均ですがすぐにプラスに転じるとその後は徐々に上げ幅を拡大しました。引けにかけても上げ幅を広げた日経平均は結局315円高とほぼ1日の高値で大引けをむかえました。東証1部の売買代金は2兆7152億円と7月29日以来約1ヶ月半ぶりの高水準となりました。東証33業種は全業種が上昇しました。中でもマイナス金利の深掘りがなかったことで銀行業が7%近い大幅高となったほか、保険業や証券商品先物といった金融関連や海運業などの景気敏感セクターを中心に大きく上昇しました。

2.個別銘柄等
東証1部の売買代金トップに入った任天堂(7974)こそ1.2%安と下落したものの、残る売買代金上位銘柄は軒並み大幅高となりました。メガバンク3行が揃って7%前後の大幅上昇となったほか、トヨタ自動車(7203)が3.2%高、第一生命(8750)が7.4%高などとなっています。特に地銀株が大きく買われて山梨中央銀行(8360)が10%高となったほか、九州フィナンシャルグループ(7180)、広島銀行(8379)、ふくおかフィナンシャルグループ(8354)、トモニホールディングス(8600)がいずれも9%台の大幅上昇となっています。その他材料が出たところでは、ドラッグストアを展開するクスリのアオキ(3398)がストップ高となり東証1部の上昇率首位となりました。昨日発表した第1四半期の営業利益が前年同期比11%の増加と堅調に推移していることが好感されました。

【VIEW POINT: 明日への視点】
日銀は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を発表しました。発表当初は市場もやや混乱しましたが、徐々に円安株高に振れたことからすると日銀の発表をまずは好感したと言えそうです。金融緩和の継続に対するフォーワードガイダンスを強化したことは、中長期的に見て株式市場にポジティブとみられます。一方で本当に日銀がイールドカーブをコントロールできるのかということはまだ不明で、今後の債券市場の動向に注目が集まることになりそうです。そして、今夜の米国市場では連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表が行われます。利上げの実施が議論されているとみられますが、足元で発表された経済指標の低迷などから今回は利上げを見送るのではないかとの見方が有力です。ただ、サプライズで利上げ実施となった場合や近い将来の利上げ実施が予告されるようなことになれば大きく円安ドル高や株安が進む可能性があり注意が必要です。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)


中国株式市場

上海総合指数、ハンセン指数とも反発

上海総合指数:3,025.87(+2.87)
香港ハンセン指数(日本時間16時時点):23,698.25(+167.39)

1.概況
<中国本土市場>
上海総合指数は2ポイント高の3,025ポイントと小幅に反発しました。小幅に下げて始まった上海総合指数は、午前中は前日終値を挟んで方向感のない値動きとなりました。後場に入ると一時0.3%高程度まで上昇しましたが、引けにかけて上げ幅を縮めると結局ほぼ横ばいで取引を終えています。

<香港市場>
日本時間16時時点でハンセン指数は167ポイント高の23,698ポイントと反発しています。日銀の金融政策決定会合やFOMCの開催を控えて様子見で始まったハンセン指数は、しばらくはマイナス圏で推移しましたが、まもなくプラスに転じると日銀の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入などを受け上げ幅を広げ、一時は上げ幅が200ポイント近くなりました。

2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
日本の金融株上昇に触発される面もあってかインダストリアル・アンド・コマーシャル・バンク(中国工商銀行・01398)やバンクオブチャイナ(03988・中国銀行)、エイチエスビーシー (HSBC・00005)といった銀行株が堅調に推移しています。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)

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