マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
日経平均は139円高と反発 テレビ討論でクリントン氏優勢だったことがきっかけに
日本株式市場
1.概況
本日の日経平均は139円高の1万6683円と反発しました。TOPIXやJPX日経400、新興市場のマザーズ指数など主要指数は総じて上昇しました。昨日の米国市場はドイツ銀行の信用不安問題が再燃したことを受け下落しました。また、ドル円が100円台前半まで円高に振れたこともあり日経平均は153円安の1万6390円と続落して寄り付きました。日経平均は寄り付き後も下げ幅を広げると一時は下げ幅を260円近くまで広げる場面がありました。日本時間10時頃から開催されたクリントン氏・トランプ氏の両大統領候補のテレビ討論でクリントン氏がやや優勢に討論を進めると、トランプ氏の大統領就任というリスクシナリオが後退したことを好感してか円安ドル高が進み、日経平均も急速に下げ幅を縮小しました。前場を54円安で終えた日経平均は、後場寄りからさらに下げ幅を縮めるとまもなくプラスに転じました。日経平均はその後一貫してプラス圏で推移すると引けにかけて上げ幅を広げて139円高と結局高値引けとなりました。東証1部の売買代金は2兆2946億円と2兆円を上回る高水準となりました。東証33業種は鉱業や非鉄金属など31業種が上昇しました。銀行業と証券商品先物の2業種のみ下げています。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金トップに入った任天堂(7974)は国内証券が目標株価を引き上げたことも好感され、1.4%高と反発しました。一方でドイツ銀行の信用不安問題を受け、銀行株が売られました。三菱UFJ(8306)や三井住友(8316)、みずほ(8411)がそれぞれ1%前後下落しました。また、足利ホールディングス(7167)や常陽銀行(8333)などの地銀も大きく下落しています。一方で食料品や小売など内需ディフェンシブセクターの一角が堅調でした。森永乳業(2264)が4.2%高と大きく上昇して年初来高値を更新したほか、雪印メグミルク(2270)、味の素(2802)、森永製菓(2201)、クスリのアオキ(3398)、クオール(3034)などがそれぞれ堅調でした。また、呉服専門店のさが美(8201)は2日連続でストップ高となりました。同社は投資ファンドによって買収されることで合意していますが、別の投資ファンドも買収提案をしていると報じられ買収価格の上昇を期待した思惑的な買いが入っているようです。
【VIEW POINT: 明日への視点】
一時260円安近くまで下落した日経平均ですが、終わってみれば139円高と400円近い大きな値幅が出た1日となりました。本日のマーケットの反応を見ると、やはり市場はトランプ氏の大統領就任可能性をネガティブに捉えていると言えそうです。やや円安に戻したとは言えいまだにドル円は100円台であり、この水準では日経平均が1万7000円を大きく上回ることは難しいとみられます。引き続き為替をにらみながらの展開となりそうです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
上海市場は反発 香港市場は大幅反発
上海総合指数:2,998.17(+17.74)
香港のハンセン指数(日本時間16時時点):23,603.30(+285.38)
1.概況
<中国本土市場>
上海総合指数は反発となりました。朝方発表された8月の工業企業利益が19.5%増と前月から伸び率が大きく拡大したことが好感され前場に一時プラスに転じる場面がみられた上海総合指数ですが、上値追いとはならずマイナス圏に沈むとその後は小幅安での推移となりました。但し、引け間際に持ち直してプラスに転じた上海総合指数は結局、0.6%高と節目の3,000ポイント近辺まで回復しほぼ高値引けとなっています。
<香港市場>
ハンセン指数は大幅に反発しています。寄り付き直後に一時マイナスに転じたハンセン指数ですが、日本時間午前10時から行われた第1回目の米大統領候補討論会(ディベート)で政策不透明感の強い共和党トランプ候補が劣勢だったとの見方が広がったことが投資家心理の改善につながり、すぐに持ち直すと上げ幅を広げる展開となりました。後場に入ると一段高となったハンセン指数はその後も堅調な推移が続いています。日本時間16時時点で4業種全てが上げ、なかでも金融株指数や不動産株指数、商工業株指数が揃って1%を超える上昇となっています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
香港市場はほぼ全面高となっています。なかでもカジノのサンズチャイナ(金沙中国・01928)が4%近く上昇し、ハンセン指数構成銘柄で上昇率トップとなっています。また、連日の自社株買いが好感されエイチエスビーシー (HSBC・00005)が2%近く上げているほか、前日に下落したインターネットサービスのテンセント (騰訊控股・00700)も反発しています。さらに、石油輸出国機構(OPEC)が26-28日に開く非公式会合で生産調整が決まるとの期待を背景にシノペック (中国石油化工・00386)やシノック(中国海洋石油・00883)などのエネルギー株も買われています。一方で、特段の材料がないものの中国乳製品メーカーのモンニュウデイリー (蒙牛乳業・02319)や中国複合企業最大手のシティック (中信股フェン・00267)などが軟調に推移しています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川)