マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
昨日の米国市場は原油高を好感し上昇 日本市場は米国株高で反発か
NYダウ: 18329.04 △88.55 (10/10)
NASDAQ: 5328.67 △36.27 (10/10)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
先週末の米国市場は下落となりました。米雇用統計で雇用者数は市場予想を下回ったものの、年内利上げの見通しを大きく変える内容ではなかったとして売り優勢でのスタートとなったダウ平均は、原油価格が下げ幅を広げると昼前には120ドル安近くまで売られました。その後午後に買い戻しが入り持ち持ち直したダウ平均ですが、前日終値近辺では上値が重く結局28ドル安の18,240ドルと続落となりました。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も14ポイント安の5,292ポイントとこちらも続落となっています。昨日の米国市場はロシアのプーチン大統領が石油輸出国機構(OPEC)の合意した減産に加わる用意があると表明したことなどによる原油価格の上昇を好感して反発しました。取引開始後しばらくして160ドル高近くまで買われたダウ平均は、その後上げ幅を縮めたものの堅調に推移すると88ドル高の18,329ドルと3日ぶりに反発して取引を終えています。また、ナスダック総合株価指数も36ポイント高の5,328ポイントとなっています。
2.経済指標等
先週末に発表となった9月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数は15万6千増となり市場予想を下回りました。また、8月は15万1千人から16万7千人に上方修正された一方で、7月は27万5千人から25万2千人へと下方修正されています。失業率は労働参加率の上昇もあって5.0%と前月の4.9%とから上昇し、横ばいを見込んでいた市場予想を上回っています。平均時給は前年同月比2.6%増となり前月を上回る伸びとなっています。8月の米卸売売上高は前月比0.7%増と市場予想を上回り、卸売在庫は前月比0.2%減と市場予想以上の減少となっています。8月の米消費者信用残高は前月比259億ドル増の3兆6867億ドルでした。
3.業種別動向
先週末の米国市場で業種別S&P500株価指数は全11業種のうちヘルスケアと金融を除く9業種が下げました。そのなかでも素材が2%近く下げたほか、資本財・サービスも1%を超える下落となりました。昨日の米国市場で業種別S&P500株価指数は11業種全てが上げました。そのなかでもエネルギーが1%を超える上昇となったほか、公益事業も1%近く上げています。
4.個別銘柄動向
先週末の米国市場では、業績見通しを引き下げたハネウェル・インターナショナル(HON)が大幅安となり、同業のユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)なども売りが波及しました。また、価格操縦の可能性の指摘を受けて食肉のタイソン・フーズ(TSN)が急落しました。一方で衣料品のギャップ(GPS)が急伸しました。9月の既存店売上高は減少したものの、悪材料出尽くしで買われました。昨日の米国市場では、原油価格の上昇を受けてエクソンモービル(XOM)が2%近く上げダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなったほか、シェブロン(CVX)も1%を上回る上昇となりました。また、発火事故が発生している最新スマホの生産をサムスン電子が一時中断したと伝わったことでアップル(AAPL)も2%近く上げています。さらに最高経営責任者が太陽光発電のソーラーシティ買収で10-12月期に資金調達の必要はないとの認識を示した電気自動車メーカーのテスラモーターズ(TSLA)が買われ、急性アレルギー反応を和らげる注射薬「エピペン」を巡って米当局への和解金支払いで合意したと発表した後発薬大手のマイラン(MYL)も大幅高となっています。一方で買収を巡って企業からの入札がなかったと伝わったツイッター(TWTR)や、通期の業績予想の下方修正を発表した機械設備大手のドーバー(DOV)が急落しています。
5.為替・金利等
先週末の長期金利は市場予想を下回る米雇用統計を受けて前日比0.01%低い1.72%となりました。昨日の米債券市場はコロンバス・デーの祝日で休場となっています。先週末のドル円は雇用統計の良好な結果を期待して前日まで円売り・ドル買いが続いていた反動から円を買い戻す動きが優勢となり102円台後半まで円高に振れましたが、その後原油高を受けて円が売られ朝方は103円台後半で推移しています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
先週末の米国市場は下落したものの、昨日の米国市場は反発となり、2日間トータルするとダウ平均が60ドル余りの上昇となっていることから、本日の日本市場は反発でのスタートが予想されます。こうしたなか今月に入って2兆円割れが続いている東証1部の売買代金に回復がみられるかが注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)