マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
日経平均中国の物価関連指標の上振れなどを好感し82円高と3日ぶりに反発
1.概況
本日の日経平均は、82円高の1万6856円と3日ぶりに反発しました。TOPIXやJPX日経400も上昇した一方で、新興市場のマザーズ指数は小幅に下げています。昨日ダウ平均が45ドル安と下落したことを受け、日経平均は23円安と小幅に続落して始まりましたが、米国株下落の大きな理由が中国の貿易統計の不振を懸念してのもので、昨日日経平均はその材料をすでに織り込んでいたこともあってかすぐにプラスに転じました。前場の日経平均は昨日の終値を挟んで方向感に欠ける値動きとなり、一時再びマイナス圏に沈みましたが、10時半に発表された中国の物価関連指標が市場予想を上回ったことから中国経済への懸念がやや後退した格好となり日経平均はその後一時60円高程度まで上昇しました。その後再び上げ幅をやや縮めた日経平均は前場を10円高で終えると後場から上げ幅を徐々に拡大しました。ドル円が104円台まで円安に振れたこともサポートになって、日経平均は1日の高値圏で大引けをむかえました。東証1部の売買代金は1兆9660億円と昨日からやや増加したものの、9営業日連続で2兆円の大台を割り込みました。東証33業種は鉱業や石油石炭製品など23業種が上昇しました。一方で医薬品や繊維製品など10業種が下げています。
2.個別銘柄等
本日はソフトバンクグループ(9984)とファーストリテイリング(9983)の2社が日経平均を牽引した格好となりました。ソフトバンクグループは最先端技術に投資する大規模な私募ファンドを設立し、今後サウジアラビアの政府系ファンドなどからも出資を募ると発表したことで、先行き期待から買われました。また、ファーストリテイリングは昨日発表した平成28年8月期の営業利益は前期比22%減と冴えなかったものの、今期の業績予想を37%の増益予想などと発表したことが好感され買われました。ソフトバンクグループとファーストリテイリングの2社で日経平均を90円近く引き上げています。その他材料が出たところでは、昨日の大引け後に平成28年8月期の営業利益を従来予想の1億3000万円の黒字から8500万円の赤字に下方修正した書店チェーンの文教堂グループホールディングス(9978)がストップ安となりました。村上春樹氏がノーベル文学賞の受賞を逃したことも同社の下落に影響しているとの声も聞かれました。
【VIEW POINT: 明日への視点】
昨日は中国の冴えない経済指標をきっかけに円高が進行し下落した日経平均ですが、本日は中国の指標が堅調だったことを材料にやや円安が進行し、日経平均は上昇しました。今夜の米国市場では、小売売上高やミシガン大学消費者信頼感指数といった個人消費関連の重要経済指標の発表に加えて、イエレンFRB議長が講演を行います。今後の金融政策についてどのような発言を行うかが注目されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)