マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
日経平均は中国のGDPを受けて一時節目の17,000円を回復 明日は米大統領選の第3回テレビ討論会に注目
1.概況
本日の日本市場は小幅に4日続伸となりました。日経平均が節目の17,000円に迫るなか中国の7-9月期GDPの発表を控えていることもあって本日の日本市場は様子見でのスタートとなりました。10円安の16,952円と小幅に下げて寄り付いた日経平均は寄り付きから10分後にプラスに転じたものの、17,000円を前に上値が伸び悩むとしばらくは昨日終値を挟んで小幅に揉み合う展開が続きました。11時に市場予想通りの中国のGDPが発表されると日経平均は上げ幅を45円まで広げ節目の一時17,000円をわずかに上回りましたが、17,000円を超えたところではさすがに上値が重く23円高で前場の取引を終えました。前引けとほぼ変わらずでスタートした後場は一旦上げ幅を縮めたものの、前場と違ってマイナスに転じることなく昨日終値近辺で底堅さをみせると取引終盤に前場の高値を上回って53円高まで上値を伸ばし再び17,000円を回復しました。その後17,000円を上回って推移した日経平均ですが、引けで17,000円を1円余り下回り結局35円高の16,998円で取引を終えています。日経平均は一時17,000円を回復したものの、一日の値幅が80円弱とこう着感の強い相場で東証1部の売買代金は1兆6631億円に止まり12営業日連続で2兆円割れとなっています。また、新興市場では東証マザーズ指数が3日続伸、日経ジャスダック平均が5日続伸となっています。
2.個別銘柄等
円高による仕入れコストの減少が追い風となり輸入魚介類の販売を手掛ける水産商事事業の採算が上向いたことなどで上期の営業利益が前年上期比2倍の140億円強になったとの観測記事を好感しマルハニチロ(1333)が大幅高となったほか、米医薬品・医療機器大手のアボット・ラボラトリーズ(ABT)と米セント・ジュード・メディカル(STJ)から血管治療機器の事業の一部を11億2000万ドル(約1160億円)で買収することで合意したと発表したテルモ(4543)も業績拡大期待から大きく上げる場面がみられました。また、日産自動車(7201)がカルロス・ゴーン社長の三菱自動車(7211)会長に就任する人事を固めたとの報道を受けて三菱自動車が後場に急伸し一時10%高となる場面がありました。一方で投資判断と目標株価の引き下げを受けてエムスリー(2413)が一時3%以上下げています。東証2部では不振だった北米テレビ事業からの撤退や従業員の大幅削減の効果が出て2017年3月期の営業損益が400億円程度の黒字になると計画していると報じられたシャープ(6753)や、米系ファンドが発行済み株式の5%超を取得していたことが大量保有報告書で明らかになったラオックス(8202)が急伸し、ラオックスは年初来高値を更新しています。なお、シャープやラオックスなどが大幅高となった東証2部指数は5日続伸となり1%を超す上昇となっています。さらに新興市場では総務省がテレビ番組をインターネットで同時に配信するネット同時配信を2019年にも全面解禁する方針を固めたとの報道を受けてJストリーム(4308)が急伸しストップ高となっています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
中国の7-9月期GDPは前年同期比6.7%増と市場予想通りの結果でしたが、13日に発表された9月の中国の貿易統計で輸出が大きく減ったことで下振れも警戒されていただけに市場予想と一致したことで安心感が出て日経平均は一時17,000円を回復する展開となりました。明日は日本時間10時から米大統領選の第3回テレビ討論会が予定されています。その結果で民主党のヒラリー・クリントン候補が優位との見方がさらに固まれば相場にプラスに働く可能性もありそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)