マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
先週末の米国市場は米大統領選の不透明感が意識され小幅続落 日本市場は円高で反落か
NYダウ: 18161.19 ▼8.49 (10/28)
NASDAQ: 5190.10 ▼25.87 (10/28)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
先週末の米国市場は小幅続落となりました。市場予想を上回った7-9月期米GDPを受けて上昇して始まったダウ平均は昼過ぎに90ドル高近くまで買われましたが、米大統領選候補のヒラリー・クリントン氏が国務長官時代に私用メールを公務に利用していた問題でFRBが再捜査を行う方針を明らかにすると米大統領選の不透明感が意識され急速に上げ幅を縮めマイナスに転じ70ドル安余りまで売られました。その後切り返し持ち直したダウ平均ですがプラス圏では上値が重く結局8ドル安の18,161ドルと小幅に下げて取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も25ポイント安の5,190ポイントと4日続落となっています。
2.経済指標等
7-9月期の米GDP速報値は前期比年率換算で2.9%増となり市場予想を上回りました。また、10月のミシガン大学米消費者態度指数確報値は87.2となり速報値の87.9から下方修正されたものの、市場予想は上回っています。7-9月期の米雇用コスト指数は前期比0.6%上昇し市場予想と一致しています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうちヘルスケアやエネルギー、金融など6業種が下げ、ヘルスケアは2%を超える下落となっています。一方で資本財・サービスや生活必需品など5業種が上げています。
4.個別銘柄動向
業績見通しが市場予想に届かなかったアマゾン・ドット・コム(AMZN)が大幅安となったほか、決算で売上高が市場予想を下回り、通年の業績見通しも引き下げた医薬品卸売大手のマッケソン(MCK)が急落しています。通期の営業利益見通しを引き下げたグッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー(GT)も急落しています。さらに決算で売上高が市場予想を上回って悪化したエクソンモービル(XOM)も2%を超える下落となっています。一方で決算が市場予想ほど悪化しなかったシェブロン(CVX)は4%近く上げています。そのほかゼネラル・エレクトリック(GE)による買収検討が報じられた石油サービスのベーカー・ヒューズ(BHI)が急伸し、ゼネラル・エレクトリックも2%高となっています。決算が市場予想を大きく上回ったうえ、市場予想を上回る売上高見通しを発表したアップル(AAPL)のサプライヤーである半導体設計の米シーラス・ロジック(CRUS)も大幅高となっています。
5.為替・金利等
長期金利は米大統領選を巡る不透明感が意識され0.01%低い1.84%となりました。ドル円は市場予想を上回る米GDPの発表を受けて105円台半ばまで円安が進む場面もありましたが、クリントン氏の私用メール問題が再燃したのをきっかけにして円買い・ドル売りの動きとなり円高に振れました。朝方は104円台後半で推移しています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
先週末の米国株が小幅に下げたことやドル円が円高に振れていることから本日の日本市場は反落でのスタートが予想されます。短期的な過熱感も意識され利益確定の売りが出やすいなか日経平均が5日移動平均線(先週末時点で17,354円)などをサポートに下げ渋る展開となるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)