マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場は米大統領選の不透明感から続落 日本市場は米国株安と円高で続落か
NYダウ: 17930.67 ▼28.97 (11/3)
NASDAQ: 5058.41 ▼47.16 (11/3)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
2日の米国市場は米大統領選の不透明感が引き続き重石となり続落となりました。下落して始まったダウ平均はその後も18,000ドル台前半で軟調に推移すると、FOMCの声明でFRBがインフレ判断を引き上げたことで年内の利上げが改めて意識され午後には105ドル安まで下げ幅を広げ節目の18,000ドルを割り込む場面もありました。その後一旦18,000ドルを回復したダウ平均ですが、引けにかけて再び弱含むと結局77ドル安の17,959ドルと5日続落となり、終値では7月7日以来約4か月ぶりに18,000ドルを割り込んで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も48ポイント安の5,105ポイントと7日続落となっています。
昨日の米国市場は米大統領選の不透明感が払拭できず続落となりました。午前中はプラス圏で推移していたダウ平均ですが、50ドル高近くで上値が伸び悩むと午後には前日終値を挟んで揉み合う展開が続きました。取引終盤で55ドル安まで売られたダウ平均は引けにかけてやや持ち直したものの、結局28ドル安の17,930ドルとなり6日続落で取引を終えています。また、S&P500株価指数も9ポイント安の2,088ポイントとなりおよそ8年ぶりの8日続落となっています。ナスダック総合株価指数も47ポイント安の5,058ポイントと8日続落となり、時価総額の大きいフェイスブック(FB)が大幅安となったことで1%近い下げとなっています。
2.経済指標等
米連邦準備理事会(FRB)は2日に米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げの条件は引き続き整ってきたとしながらも、いくらかの確証を待つとして金融政策の現状維持を賛成多数で決めました。声明では物価の判断を「低くとどまった」から「上昇した」に変更し引き上げたものの、昨年12月の利上げ直前となる10月のFOMCであったような12月の利上げを予告するような文言は盛り込まれませんでした。また、2日発表の10月の米ADP全米雇用リポートで民間部門の雇用者数は14万7000人増となり市場予想を下回っています。
昨日に発表となった先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比7000件増の26万5000件となり市場予想を上回って悪化しました。10月の米ISM非製造業景況感指数も54.8と前月から低下し市場予想を下回っています。一方で7-9月期の米労働生産性指数速報値は年率換算で前期比3.1%上昇し市場予想を上回りました。また、9月の米製造業受注も前月比0.3%増となり市場予想を上回っています。
3.業種別動向
2日の米国市場で業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも不動産、公益事業、電気通信サービス、エネルギーが1%を超える下落となっています。昨日の米国市場では業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が下げ、ヘルスケアと情報技術が1%以上の下落となりました。一方でエネルギーと公益事業、金融の3業種が上げています。
4.個別銘柄動向
2日の米国市場では、市場予想を下回る四半期決算と同時に業績見通しの引き下げを発表したアイルランドの製薬大手のアラガン(AGN)が大幅安となったほか、決算は増収増益だったものの利益率が悪化した高級服飾のケイト・スペード(KATE)が急落しました。決算で1株利益が市場予想を大きく下回った鉄鋼のUSスチール(X)も大幅安となっています。一方、決算で1株損益が黒字に転じた口コミサイトのイェルプ(YELP)が急伸し、業績見通しを引き上げたゲームのエレクトロニック・アーツ(EA)が堅調でした。半導体のブロードコム(AVGO)が買収を発表したブロケード・コミュニケーションズ・システムズ(BRCD)も急伸し、ブロードコムも上げています。
昨日の米国市場では決算が大幅な増収増益だったものの、今後は業績の伸び率が鈍化するとの見通しを示したフェイスブックが5%を超える下げとなりました。また、決算と同時に発表した見通しが市場予想に届かなかったウエアラブル端末のフィットビット(FIT)が急落しています。一方で投資ファンドに身売りすると発表した半導体のラティス・セミコンダクターズ(LSCC)が急伸したほか、決算が市場予想ほど落ちこまなかった海洋油田掘削大手のトランスオーシャン(RIG)が大幅高となっています。
5.為替・金利等
2日の長期金利は0.02%低い1.80%となりました。昨日の長期金利は0.01%高い1.81%となっています。ドル円は米大統領選の不透明感からさらに円高が進み102円台後半で推移しています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
米国市場が続落となり2日間でダウ平均が100ドル以上下げたことに加え、ドル円が102円台を付け円高に振れていることから本日の日本市場は続落でのスタートが予想されます。日経平均は節目の17,000円を割り込む場面もありそうですが、25日移動平均線(2日時点で17,003円)などをサポートに引けで17,000円を維持できるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)