マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米大統領選の投開票を控えて日経平均は5円安とほぼ横ばい 明日は開票速報が材料になるとみられ市場の急変動に要注意
1.概況
本日の日経平均は5円安の1万7171円と小幅に反落しました。TOPIXやJPX日経400は上昇した一方で新興市場のマザーズ指数は小幅に下落と主要指数は高安まちまちでした。FBIがクリントン氏の訴追を行わないと表明し、大統領選を巡る不透明感が後退したとの思惑から昨日の米国市場でダウ平均は371ドル高と大幅に上昇しました。昨日日経平均は既に同材料を織り込んで上昇していたため、本日の日経平均は65円高と米国株に比べると小幅な上げ幅で寄り付きました。日本時間の明日に大統領選の投開票を控えているとあって様子見傾向が強く、日経平均は徐々に上げ幅を縮めるとまもなくマイナスに転じました。前場を26円安で終えた日経平均は後場に入ると昨日の終値を挟んだもみ合いとなりました。その後も大きな方向感は出ず、日経平均はそのまま小幅安での大引けとなりました。東証1部の売買代金は1兆7766億円と2兆円に届かず薄商いでした。東証33業種は海運業や鉄鋼、非鉄金属など17業種が上昇した一方で繊維製品や医薬品など16業種が下げています。
2.個別銘柄等
トヨタ自動車(7203)やソフトバンクグループ(9984)、三菱UFJ(8306)など東証1部の売買代金上位銘柄は概ね堅調でした。ソフトバンクグループは昨日発表した中間決算が市場予想を上回る内容だったことが好感されました。その他材料が出たところでは、プリンターなどのデジタル複合機を展開するブラザー工業(6448)は、通期の営業利益予想を従来の485億円から550億円に上方修正したことが好感されて7.4%の大幅高で年初来高値を更新しました。一方で東レ(3402)は今期の営業利益予想を従来の1700億円から1550億円に下方修正したことが嫌気され3.3%安と軟調でした。また、国内で1,000人規模の人員削減を検討していると報じられ、ニコン(7731)は1.3%高と堅調でした。経営改革への期待が強まったようです。また、福岡市のJR博多駅付近で発生した道路の陥没事故で周辺の地下鉄延伸工事を担当している大成建設(1801)は3%超下落しました。今後の業績への悪影響を懸念する売りが出たようです。
【VIEW POINT: 明日への視点】
いよいよ明日の日本時間の日中に米大統領選の開票が行われます。中でもどちらの候補が勝利するか接戦で選挙人の数が多く、開票時間が比較的早いフロリダ州やオハイオ州の結果が高い注目を集めています。明日はこれらの州などの開票速報を材料に市場が動くとみられ、クリントン氏優勢となれば円安・株高に、トランプ氏優勢となれば円高・株安に動きやすいと考えられます。事前の調査ではクリントン氏が優勢を保っていますが、今年6月の英国のEU離脱(Brexit)の際同様に思わぬ波乱の可能性がないとも言えませんので、明日はできる限り取引時間中に市況を確認したり、逆指値注文等で市場の急変に備えたりなどの準備をしていただきたいと思います。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)