マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米大統領選、トランプ氏の勝利が確実視され日経平均は919円の大幅安
1.概況
本日の日経平均は919円安の1万6251円と英国が国民投票でEU離脱を決めた6月24日以来の大幅な下げとなりました。TOPIXやJPX日経400、新興市場のマザーズ指数など主要指数はいずれも大幅に下落しています。接戦州でクリントン氏が選挙戦を優位に進めていると報じられ、昨日の米国株はダウ平均が73ドル高と上昇しました。また、ドル円が105円台まで円安に振れたことを受け日経平均は110円高と反発して寄り付きました。本日の日本市場の株価は事前に予想されていたとおり米大統領選の開票速報を材料として荒っぽい値動きとなりました。堅調に始まった日経平均ですが、9時半過ぎに一時トランプ氏の優勢が報じられるとドル円が104円台半ばまで円高に振れるとともに、日経平均もマイナスに転じました。ただ、その後すぐに持ち直すと一転して日経平均は上げ幅を250円超まで広げ、一時は楽観ムードが高まりました。ただ、11時頃からトランプ氏の優勢が再び伝えられるとドル円が一時102円台まで円高に振れ、日経平均はマイナスに転じると前場を382円の大幅安で引けました。日経平均は後場寄りから一段安となると一時下げ幅を1,000円超まで広げるなど全面安の展開となり、そのまま大幅に下落して取引を終えました。東証1部の売買代金は3兆9242億円と4兆円近い大商いとなりました。東証33業種は全業種が下落しました。中でも輸送用機器や海運業、証券商品先物など景気敏感セクターの大きな下げが目立ちました。
2.個別銘柄等
決算で好業績を発表し当初は堅調に推移する銘柄も見られましたが、トランプ氏勝利の可能性が高まるとそうした銘柄も大きく売られました。通期の営業利益予想を従来の1兆6000億円から1兆7000億円に引き上げたトヨタ自動車(7203)は一時1%高近くまであげましたが、終値では6.5%の大幅安となりました。三菱UFJ(8306)やみずほ(8411)などの銀行株も当初は堅調に推移していたものの売りが売りを呼ぶ展開に巻き込まれ、6%前後下落しています。空圧制御機器などを手がけるSMC(6273)は通期の営業利益予想を従来の1070億円から1220億円に引き上げるなど、底堅い業績が好感されて一時は5%超の上昇となりましたが、終値では3.3%安となりました。また、構造改革を実施するための費用を計上するため通期の純利益予想を従来の300億円の黒字から60億円の赤字に下方修正したニコン(7731)は6.6%安と軟調でした。
【VIEW POINT: 明日への視点】
日本時間15時時点ではまだ正式に決着がついたわけではありませんが、トランプ氏の大統領就任可能性が非常に高くなったことを嫌気して日本市場は全面安の展開となりました。英国のEU離脱の際は大幅な下げとなった翌日から日経平均は反発し、金融市場の混乱は長続きしませんでした。今回がどのような展開となるか現時点で予想することは困難ですが、個別銘柄欄でご紹介したように好業績にもかかわらず全体の下落に巻き込まれて大幅に下落した銘柄が多数あります。例えば内需関連の好業績銘柄など、円高進行が業績に悪影響を与える可能性が低い銘柄などを探し買い下がっていくことが有効な局面かもしれません。レポート等で情報を発信して参りますのでぜひご活用いただければ幸いです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)