市況概況 - 朝 -

マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)

  • 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
  • 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況

執筆者:マネックス証券 プロダクト部

米国市場は様子見のなか利益確定の売りが出て小幅に反落 日本市場では午前11時からのトランプ米大統領の議会演説に注目

NYダウ: 20812.24  ▼25.20 (2/28)
NASDAQ: 5825.44  ▼36.46 (2/28)

【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>

1.概況
米国市場はトランプ米大統領の議会演説を夜に控え様子見となるなかダウ平均が前日まで12営業日連続で史上最高値を更新していたこともあって利益確定の売りが出て小幅に反落となりました。下落して始まったダウ平均はプラスとなる場面もありましたが、前日終値をわずかに上回ったところで上値を押さえられるとその後は軟調に推移しました。しかし、下値も56ドル安と限定的で結局25ドル安の20,812ドルと13営業日ぶりに反落して取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も36ポイント安の5,825ポイントと3営業日ぶりの反落となっています。

2.経済指標等
2016年10-12月期の米実質GDP改定値は前期比年率換算で1.9%増となりました。速報値からの修正はなく、上方修正を見込んでいた市場予想を下回りました。一方で2016年12月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数で主要20都市圏住宅価格指数は前年同月比5.6%上昇し市場予想を上回りました。また、2月のシカゴ購買部協会景気指数(PMI)も57.4となり市場予想を上回りました。さらに2月のコンファレンスボード米消費者信頼感指数も114.8となり市場予想を上回っています。

3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち一般消費財・サービス、資本財・サービス、電気通信サービスなどの8業種が下げました。一方で公益事業、生活必需品、素材の3業種が上げ、公益事業は1%近く上昇しています。

4.個別銘柄動向
決算が市場予想を下回り、見通しも市場予想に届かなかったディスカウントストアのターゲット(TGT)が12%以上下げ急落しました。決算で赤字が拡大したカナダの製薬大手バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナル(VRX)も14%近く下げ急落しています。一方で決算が市場予想を大幅に上回った旅行予約サイトのプライスライン・グループ(PCLN)が相次ぐ目標株価の引き上げもあって大幅高となったほか、決算が市場予想を上回る増収増益となった宅配ピザ・サービスのドミノ・ピザ(DPZ)も買われました。バイオのセルジーン(CELG)も目標株価の引き上げを受けて上げています。

5.為替・金利等
長期金利は前日比0.03%高い2.39%となりました。ドル円は112円台後半で推移しています。

(3月1日:マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部)

【VIEW POINT: 今日の視点】
<チーフ・ストラテジスト広木隆による特別寄稿>
トランプ大統領の議会演説 - ベット(賭け)の仕方

トランプ大統領の議会演説は、あまり踏み込んだ内容にはならないだろう。注目されている減税策の具体的な中身は予算教書を待たないと出てこないと思う。共和党下院の国境税調整と、トランプ氏の標ぼうする減税案の擦り合わせが、こんな短時間にできるとは思えないからだ。

では、本日の東京市場は失望売りで暴落か、と言えばそうはならないだろう。市場はトランプ演説が冴えないものになることを織り込んできている。日経平均は月曜まで4日続落、昨日は5日ぶり反発も午後急速に上げ幅を縮め結局安値引け。これはトランプ演説に期待していない、むしろ警戒感の現れだ。よって、踏み込んだ内容にならなくても織り込み済みで下げは限定的。むしろ、反対に積極的な内容、大風呂敷を広げるようなことになれば市場はポジティブサプライズで反応するのではないか。

下げたとしても19000円割れ、せいぜい200円安くらい。反対にポジティブサプライズとなれば500円くらい上げる可能性はある。

演説がネガティブな内容になる確率を60%、ポジティブなものになる確率を40%とすると、

60%×▲200円+40%×500円

で日経平均のリターンの期待値はプラスの80円。

確率を7:3に下げてもまだ期待値はプラスである。もしも本日のイベントに賭けるなら、買いで入るのが正解だろう。ボラティリティが低い=オプション・プレミアムが安いので、コール・オプションの買いが妙味のある戦略だろう。

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