マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場は小幅に高安まちまち 原油安やキャタピラーの下落が重石でダウ平均は続落 日本市場は円安で反発か
NYダウ: 20855.73 ▼69.03 (3/8)
NASDAQ: 5837.55 △3.62 (3/8)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場は小幅に高安まちまちでした。原油安やキャタピラー(CAT)の下落が重石となったダウ平均とS&P500株価指数は3日続落となったものの、時価総額の大きいハイテク株の一角が堅調だったナスダック総合株価指数は3日ぶりの反発となりました。小幅に上昇して始まったダウ平均はまもなくして下落に転じるとその後はマイナス圏での推移が続きました。プラスとなる場面も何度かみられましたが、前日終値をわずかに上回ったところでは上値も重く、引けにかけて下げ幅を90ドル安近くまで広げる場面もありました。結局ダウ平均は69ドル安の20,855ドルで取引を終えています。また、S&P500株価指数も5ポイント安の2,362ポイントとなりました。一方でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3ポイント高の5,837ポイントとなっています。
2.経済指標等
2月のADP全米雇用リポートで民間部門雇用者数は29万8000人増となり市場予想を大きく上回りました。一方で2016年10-12月期の米労働生産性指数改定値は年率換算で前期比1.3%上昇となったものの、市場予想は下回りました。1月の米卸売在庫も前月比0.2%減となり市場予想を下回りました。1月の米卸売売上高も前月比0.1%減となり増加を見込んでいた市場予想を下回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち7業種が下げ、なかでもエネルギーが2%を超える下落となったほか、公益事業と不動産も1%を上回る下げとなりました。一方で一般消費財・サービス、ヘルスケア、情報技術、素材の4業種が上げています。
4.個別銘柄動向
米国の税法や会計規則に従わない不正な手法で株価をつり上げているとの報告書を米連邦政府がまとめたと伝わったキャタピラーが3%近く下げ、ダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。そのほか週間の石油在庫統計で米原油在庫が市場予想を大幅に上回って増えたことで原油価格が下げたことからシェブロン(CVX)とエクソンモービル(XOM)も2%近く下げました。キャタピラーとシェブロン、エクソンモービルの3銘柄でダウ平均を43ドル余り押し下げています。また、決算が大幅な減収減益となった衣料の米エクスプレス(EXPR)が急落しています。一方、決算で最終損益の赤字幅は拡大したものの、売上高が市場予想ほど悪化しなかった税務申告代行サービスのH&Rブロック(HRB)が急伸しています。
5.為替・金利等
長期金利は良好なADP全米雇用リポートを受けて0.04%高い2.56%となりました。こうしたなかドル円は円安に振れ114円台前半で推移しています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
ドル円が円安となっていることから本日の日本市場は反発でのスタートが予想されます。日中はドル円の動向をにらみながらの展開となりそうですが、こうしたなかで重要イベントを数多く控え様子見となりやすい日経平均がどこまで上値をのばせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)