マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
先週末の米国市場は続伸し主要3指数が揃って連日で史上最高値を更新 日本市場は円高で軟調なスタートか
NYダウ: 21206.29 △62.11 (6/2)
NASDAQ: 6305.80 △58.97 (6/2)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
先週末の米国市場は雇用統計を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げペースが緩やかなものになるとの見方が強まり続伸し、主要3指数が揃って連日で史上最高値を更新しました。朝方は小幅に下げる場面もあったダウ平均ですが、しばらくして買いが優勢になると上げ幅を広げ昼過ぎには80ドル高まで買われました。その後も堅調に推移したダウ平均は結局62ドル高の21,206ドルと続伸し、前日に続いて史上最高値を更新して取引を終えています。また、S&P500株価指数が9ポイント高の2,439ポイント、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数が58ポイント高の6,305ポイントとなり、こちらもともに史上最高値を連日で更新しています。
2.経済指標等
5月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比13万8千人増となり市場予想を下回りました。過去2ヵ月分の就業者数も下方修正され、3月が7万9千人増から5万人増に、4月も21万1千人増から17万4千人増に引き下げられています。また、平均時給も前年同月比2.5%上昇と市場予想に届きませんでした。しかし、失業率は労働参加率が下がったこともあって0.1ポイント低下の4.3%と市場予想を下回って改善し、2001年5月以来16年ぶりの低水準となっています。4月の米貿易収支の赤字額は前月比5.2%増の476億1700万ドルで、赤字額は市場予想を上回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち情報技術、不動産、ヘルスケア、資本財・サービスなどの8業種が上げ、情報技術は1%を超える上昇となりました。一方でエネルギーと金融、電気通信サービスの3業種が下げ、エネルギーが1%以上の下落となっています。
4.個別銘柄動向
IT関連が高く、マイクロソフト(MSFT)が2%を超える上昇となりダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなったほか、アップル(AAPL)やインテル(INTC)も堅調でした。また、アマゾン・ドット・コム(AMZN)も買われ上場来高値を付けています。さらに決算で1株利益や売上高が市場予想を上回ったスポーツ衣料のルルレモン・アスレティカ(LULU)や、同じく決算で1株利益が市場予想を上回った半導体メーカーのブロードコム(AVGO)が急伸しています。一方、決算で通期の利益見通しを引き下げた高級家具販売のレストレーション・ハードウエア・ホールディングス(RH)が急落したほか、投資判断の引き下げを受けて人事サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)も売られています。
5.為替・金利等
長期金利は米雇用統計を受けてFRBによる利上げペースが緩やかなものになるとの見方から0.05%低い2.16%となりました。ドル円は円高に振れ110円台前半で推移しています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
先週末の米国市場では主要3指数が揃って史上最高値を更新したものの、ドル円が円高となっていることから本日の日本市場は軟調なスタートが予想されます。2日間で500円以上上昇し20,000円の大台を回復したことで利益確定の売りが出やすいなか、日経平均が底堅さをみせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)