マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場は債務上限問題への懸念が後退し反発 日本市場も米国株高と円安で上昇か
NYダウ: 21807.64 △54.33 (9/6)
NASDAQ: 6393.31 △17.74 (9/6)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場は前日に大きく下げた反動や、連邦政府の債務上限を3カ月間引き上げることでトランプ米大統領と民主党指導部が合意したことが好感され反発しました。一時95ドル高まで買われるなど一日を通して堅調に推移したダウ平均は54ドル高の21,807ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も17ポイント高の6,393ポイントとなっています。
2.経済指標等
8月の米ISM非製造業景況感指数は55.3と前月から上昇したものの市場予想を小幅に下回りました。7月の米貿易収支の赤字額は前月比0.3%増の436億8900万ドルとなったものの、赤字額は市場予想ほど拡大しませんでした。米地区連銀経済報告(ベージュブック)で米連邦準備制度理事会(FRB)は経済活動が全12地区で緩やかに拡大したとの判断を示しました。ハリケーン「ハービー」の影響に関しては、時期尚早としながらもメキシコ湾岸の経済活動が広範に混乱したと指摘しています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうちエネルギーや一般消費財・サービス、ヘルスケアなどの9業種が上げ、エネルギーは1%を超える上昇となりました。一方で電気通信サービスと公益事業が下げ、電気通信サービスが1%以上の下落となっています。
4.個別銘柄動向
インテル(INTC)が2%を超える上昇となりました。欧州連合司法裁判所が2009年に欧州委員会からEU競争法違反で巨額の制裁金が科せられた決定が正当だったかを再審理するよう下級審に命じたことが好感されました。また、原油価格の上昇と投資判断の引き上げを受けてエクソンモービル(XOM)も2%を上回る上昇となったほか、シェブロン(CVX)も2%以上上昇しています。さらにアマゾン・ドット・コム(AMZN)のタブレット型端末「ファイア」や音声認識スピーカー「エコー」などをロサンゼルスとシカゴの10店舗で販売すると発表した百貨店のコールズ(KSS)が大幅高となり、高級ブランドをライセンス生産するG-3アパレル・グループ(GIII)も決算が市場予想を上回ったことで買われました。一方で上陸が懸念されているハリケーン「イルマ」への警戒感からフロリダ州で展開する店舗数が多い外食のダーデン・レストランツ(DRI)が大幅安となり、ハリケーン「ハービー」による欠航などの影響で7-9月期の業績見通しを引き下げた航空大手のユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングス(UAL)も売られました。同じく「ハービー」の影響で通期の1株利益の見通しを引き下げた日用品大手のニューウェル・ブランズ(NWL)も大きく下げています。
5.為替・金利等
長期金利は0.04%高い2.10%となりました。ドル円は連邦政府の債務上限を3カ月間引き上げることでトランプ米大統領と民主党指導部が合意したことでドルが買われ円安に振れ109円台前半で推移しています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
米国株高と円安を受けて本日の日本市場は上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は昨日に割り込んだ200日移動平均線(昨日時点で19,389円)を回復しそうで、上値を伸ばし節目の19,500円を超えてくるような展開となるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)