マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場は通商政策への不透明感が強まり大幅下落 日本市場は下値模索の展開か
NYダウ: 24608.98 ▼420.22 (3/1)
NASDAQ: 7180.56 ▼92.45 (3/1)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場はトランプ米大統領の発言を受けて米国の通商政策への不透明感が強まり大幅安となりました。午前中は前日終値を挟んで揉み合う展開が続いたダウ平均ですが、トランプ米大統領が鉄鋼やアルミ業界首脳との会談の場で鉄鋼に25%、アルミに10%の追加関税を課す方針を示すと午後に入って大きく下げ幅を広げ一時は586ドル安まで売られました。引けにかけてやや持ち直したダウ平均ですが結局420ドル安の24,608ドルと3日続落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も92ポイント安の7,180ポイントとこちらも3日続落となっています。
2.経済指標等
1月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.2%増となり市場予想と一致しました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレータも前年同月比1.5%上昇し市場予想と一致しています。1月の米個人所得は前月比0.4%増となり市場予想を上回っています。2月の米ISM製造業景況感指数も60.8と前月から上昇し市場予想を上回りました。2月の米新車販売台数も年率換算で1708万台となり市場予想を上回りました。先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比1万件減の21万件となり悪化を見込んでいた市場予想に反して改善しました。一方で1月の米建設支出は前月比横ばいとなり市場予想を下回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも資本財・サービスや金融、情報技術が2%近く下落しています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄中26銘柄が下げました。そのなかでもボーイング(BA)とユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)が3%を超える下落となったほか、インテル(INTC)とキャタピラー(CAT)も3%近く下げています。一方でコカ・コーラ(KO)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)、シェブロン(CVX)が小幅に上げています。ダウ平均構成銘柄以外では、2-4月期と通期の業績の見通しが市場予想を下回った女性向け衣料・雑貨のエル・ブランズ(LB)が急落し14%近く下げました。決算で既存店売上高が市場予想を下回った百貨店のコールズ(KSS)も5%余り下げています。家電量販店のベストバイ(BBY)は決算で売上高が市場予想を上回ったことで4%近く上げています。強気の業績見通しを受けて顧客情報管理のセールスフォース・ドットコム(CRM)も3%近く上げました。さらにトランプ米大統領が鉄鋼やアルミに追加関税を課す方針を示したことでUSスチール(X)が6%近く上げたうえ、AKスチール・ホールディング(AKS)も9%を上回る上昇となっています。
5.為替・金利等
長期金利は0.05%低い2.81%となりました。ドル円は106円台前半で推移しています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
本日の日本市場は米国株安を受けて大きく下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は下げ幅を大きく広げ下値模索となりそうで、2月14日の年初来安値(21,154円)を試すような展開となるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)