マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場は高安まちまち ダウ平均は午後に下げ幅を縮め82ドル安 日本市場は円高一服もあり上昇か
NYダウ: 24801.36 ▼82.76 (3/7)
NASDAQ: 7396.65 △24.64 (3/7)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場は高安まちまちとなりました。米国家経済会議のコーン委員長が辞任したことを受け125ドル安と下落して始まったダウ平均は昼過ぎに350ドル安近くまで売られました。しかし、ホワイトハウスがメキシコやカナダとその他同盟国を課税対象から外す可能性があることを公表したことで貿易相手国に一律に関税を課す強硬な政策が回避されるとの見方から午後に入って持ち直す展開となりました。取引終盤に34ドル安まで下げ幅を縮める場面もみられたダウ平均は結局82ドル安の24,801ドルと3日ぶりに反落して取引を終えています。また、S&P500株価指数も1ポイント安の2,726ポイントと4日ぶりの反落となっています。一方で主力ハイテク株に値ごろ感から買いが入ったことでハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は24ポイント高の7,396ポイントと4日続伸となりました。
2.経済指標等
2月のADP全米雇用リポートで民間部門雇用者数は前月比23万5000人増となり市場予想を上回りました。2017年10-12月期の米労働生産性指数改定値も年率換算で前月比横ばいと速報値から上方修正され市場予想を上回っています。一方で1月の米消費者信用残高は前月比139億ドル増の3兆8550億ドルとなりましたが市場予想を下回っています。1月の米貿易収支の赤字額は前月比5.0%増の566億100万ドルとなり、赤字額は市場予想を上回りました。米連邦準備制度理事会(FRB)は米地区連銀経済報告(ベージュブック)で全12地区は緩慢から緩やかなペースで拡大したとしています。
3.業種別動向増
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち生活必需品やエネルギー、一般消費財・サービスなどの8業種が下げ、生活必需品は1%近い下落となりました。一方で情報技術と不動産、ヘルスケアの3業種が上げています。
4.個別銘柄動向
決算が市場予想を上回る増収増益となったカジュアル衣料のアバクロンビー・アンド・フィッチ(ANF)が急伸し12%近く上昇しました。1株当たりの損失額が市場予想ほど増えなかった税務申告代行のH&Rブロック(HRB)も急伸し11%を上回る上昇となりました。また、決算で赤字幅が市場予想を下回った設計ソフトのオートデスク(ADSK)も15%近く上げています。一方、決算で1株利益が市場予想を下回った1ドルショップのダラー・ツリー(DLTR)が急落し14%を超える下落となりました。前日に上場来高値を付けていた動画配信のネットフリックス(NFLX)は投資判断の引き下げを受けて1%余り下げています。
5.為替・金利等
長期金利は0.01%低い2.88%となりました。ドル円は円安に振れ106円台前半で推移しています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
米国市場で大きな下げが懸念されていたダウ平均の下落が限定的だったことや、円高も一服となっていることから本日の日本市場は上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の21,500円を試すような動きをみせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)