マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場は地政学リスクが意識され反落 日本市場は米国株安で軟調なスタートか
NYダウ: 24189.45 ▼218.55 (4/11)
NASDAQ: 7069.03 ▼25.28 (4/11)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場はトランプ米大統領がシリアへの軍事行動を示唆したことで地政学リスクが意識され3日ぶりの反落となりました。230ドル安近くまで売られたダウ平均は昼過ぎに一旦40ドル安程度まで持ち直す場面もみられましたが、その後再び下げ幅を広げると取引終盤には257ドル安まで下落しました。結局ダウ平均は218ドル安の24,189ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も25ポイント安の7,069ポイントとなりました。
2.経済指標等
3月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%上昇し市場予想と一致しました。変動の激しいエネルギーと食品を除いたコア指数も2.1%上昇し市場予想と一致しています。3月の米財政収支の赤字額は前年同期比18.4%増の2087億4300万ドルとなり、赤字額は市場予想を上回りました。3月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では参加者が物価目標達成への確信を強めており、中期的にある程度の一段の金融引き締めが正当化されるとみていることが分かりました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち電気通信サービスや金融、ヘルスケア、素材などの9業種が下げ、電気通信サービスと金融は1%を超える下落となりました。一方でエネルギーと不動産が上げ、エネルギーは1%高となっています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄中26銘柄が下げました。そのなかでもボーイング(BA)とユナイテッドヘルス・グループ(UNH)が2%を超える下落となり、この2銘柄でダウ平均を85ドル近く押し下げました。一方で原油高を受けてエクソンモービル(XOM)とシェブロン(CVX)が堅調だったほか、マクドナルド(MCD)も小幅に上げています。コカ・コーラ(KO)は変わらずでした。ダウ平均構成銘柄以外では、目標株価の引き上げを受けて動画配信大手のネットフリックス(NFLX)が2%近く上げています。ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が2日目の議会証言に臨んだフェイスブック(FB)も堅調でした。一方で決算で1株利益が市場予想を下回った工業・建設製品のファステナル(FAST)が6%以上下げています。メディア大手のバイアコム(VIA)との統合案で最高経営責任者(CEO)と大株主が対立していると報じられたCBS(CBS)も2%余り下落しました。
5.為替・金利等
長期金利は0.02%低い2.78%となりました。ドル円は106円台後半で推移しています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
本日の日本市場は米国株安を受けて軟調なスタートが予想されます。昨日に続き地政学リスクが意識されるなかで日経平均が下げ渋る展開となるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)